巻頭言

【巻頭言】アベノミクスは「安倍のリスク」

参院選の結果は、どうでしたか。
これを書いているのは7月10日なので、結果がわからずに書いています。
しかし結果はどうであれ、大切なものを見失ってはならない。
 
★新聞、テレビの世論誘導
政府の「TPP参加」は農業、医療、金融に大きな打撃、格差の拡大を生み、「原発の再稼働」も「改憲」も、国民の意思に反する。
それにも関わらず、新聞、テレビは投票の1ヵ月以上も前から、「自民圧勝」「自公で3分の2以上」と連日報道していた。
NHKは国営放送だから仕方ないにしても、民間の新聞、テレビは本来、「政府にもの申す」ことが役割なのに、政府の応援団みたいでおかしかった。
これだけ国民の意思に反する情報が連日流されると、国民も「投票に行っても仕方ない」という気持ちになり投票率が下がる。その結果として「自民圧勝」につながってはいないだろうか。
しかし、選挙結果がどうであれ、おかしいことには「おかしい」と、声を上げていかなければならない。
 
★TPPとは
人体には自分の体を守る仕組み(免疫、抗体、白血球)があり、外部からの侵入を防いでいる。国にも国民や国内産業を守る仕組みがあるが、TPPはそれを撤廃し、外部からの侵入を容易にする危険な試みなのだ。
海外から安い製品が入ってくると物価は下がり、国内の弱者や弱い産業が大きな打撃を受ける。消費が増えたとしても、地球の資源とエネルギーが余分に失われるだけなのだ。
 
★グローバリゼーションとは
TPPの最大の狙いは、グローバリゼーションである。
グローバリゼーションとは、各国の防波堤を取り払い、世界全体が一つの経済圏としてお金もモノも自由に流通すること。
企業は世界で最も安い原料を輸入し、世界で最も安い労働力で製造し、世界で最も有利な場所に販売するようになる。つまり国内にも国際競争が侵入するから、地元の零細企業も強大な多国籍企業と対等に競争しなければならない。以前は関税障壁もあり、国内産業の保護、地元産業の保護という仕組みがあったが、TPPはそれを破壊する。
ただでさえ「強者が有利、弱者が不利」に加えて、TPPは、多国籍企業が相手国に損害賠償できるという、「強者を守る仕組み」(ラチェット規定やISD条項)まで用意されている。
 
★アベノミクスとは
経済成長とはGDPの増大のことだから、
・人口が増えている国、生活レベルが上昇している国ではGDPが上がる
・安定し飽和している社会ではGDPは上がらない
・日本のように高齢化社会、人口が減る社会ではGDPは下がる
だから数年前から、日本経済はマイナスになってきたのだ。
それなのにアベノミクス(安倍のリスク、3本の失策)は
・2%のインフレ目標
・無制限の量的緩和
・大規模な公共投資(国土強靭化)
アベノミクスとは「目先のバブル=国民へのツケ」なのだ。
これを得意気に主張する総理は、賢明なリーダーとは思えないし、
それを支持している経済界も、まともとは思えない。
 
★それが私たちの社会
しかし、私たちの社会は資本主義社会なのだ。
資本主義とは、「資本(お金)中心主義」「資本家中心主義」であり、
社会の目的は、「資本の拡大」「売上の拡大」「利益の拡大」であり、
この方向に突き進むと、必ず戦争が起こり、破局が避けられないのだ。
だから、政府はそれに備えて「国土強靭化」を打ち出し、「国防軍」「日米同盟の強化」を打ちだし、「原発の再稼働」を打ちだしているのだ。
アベノミクス(安倍のリスク)は、「経済政策」「TPP参加」「改憲」「原発再稼働」、すべてつながっているのだ。
だから、「アベノミクスはいいけど、改憲はイヤだ、原発はノーだ」という考え方や主張は成り立たないのだ。これは一つのことだから、賛成するならすべて賛成、反対するならすべて反対しかないのだ。
今回の選挙の「各党の方針」をみると、連立与党の公明党でさえ「あれは賛成、これは反対」だし、民主党、維新の会、みんなの党、生活の党も「あれは賛成、これは反対」だった。
「すべてに反対」というのは、共産党、社民党、みどりの風、緑の党だけ。
 
★連立野党、野党連合を作るべき
今の政治は、国民の声が反映されていないし、反映できない状況だ。
それを改めるためには、アベノミクス(安倍のリスク)の3つの失策(TPP参加、原発再稼働、改憲)に反対する勢力を結集して野党政党を作り、政府の動きを封じること。
本当は選挙前にそれをやるべきだった。
それなら、こんな結果にならなかったはずだ。
いまの日本は、ほんとうに危うい。
最も危険なのは、国をミスリードする政府とそれを煽るマスメディアだ。
 
★私たち国民は
・国と国の未来に関心を持つこと
・自分の頭で考えること
・責任ある行動をとること
・未来に希望を持ち、その実現に踏み出すこと
 
★『地球村』のめざすもの
・事実を伝え、提言すること。
・現状の問題点、おかしさに気づく人を増やすこと
・コミュニティ(分かち合う社会、助け合う社会)を作ること
・コミュニティを増やし、モデルを多くの人に知らせること
説得する必要もない。人々が関心を持ち、「仲間になりたい」と集まってくるようなコミュニティを作ればいいのだ。
幸せな人には人が集まり、幸せな場所には人が集まるものだから。
★『地球村』とはコミュニティ
コミュニティの基本は農。農的な生活が最も自然な生き方だから。
近い将来、世界的な食糧不足、資源の不足、エネルギーの不足が世界を襲うことは疑う余地が無い。だから農が基本で、自給自足をめざすのだ。
エネルギーは自然エネルギーでなければならないが、太陽光は自然エネルギーではない。ハイテクだから自分たちで作れないし、維持もできない。
自然エネルギーは小水力、風力、バイオマス、地熱、太陽熱なのだ。
 
★『地球村』の勝手連、動く
今回の選挙では、『地球村』の仲間が各地で勝手連として動いた。
『地球村』サイトに「選挙に行こう」というページを作り、動画を作り、それをダウンロードできるようにし、自主的なチラシ印刷は100万枚に達した。全国で100名が大きく動いた。どれだけの効果を上げたかはわからないが、今回の動きは、今後の市民運動の大きな一歩となったに違いない。
次の選挙には、この動きをさらに拡大し、新しい世界を実現したい。
中東で始まった市民革命「アラブの春」のように、日本にも大きな変化を起こし、市民革命(本当の民主化)の嵐をおこそう!
「日本の春」を実現しよう!
 
 
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