スペシャル対談

2014年11月 社民党副党首 福島みずほさん

弁護士でもあり、参議院議員、前社民党首、現社民党副党首の福島みずほさんは、環境・人権・男女平等・平和・雇用を5本柱に据えて活動されています。国会や政治を、市民にとって身近なものにしてくれている議員のお一人。「9条を守る」「格差をなくす」「人々が支え合う社会を作る」など、考え方は『地球村』と同じで、共感し合う対談になりました。

 

9条を守る政党がなくなったら困る

高木 お忙しい中、今日は時間をとっていただきありがとうございます。。
 
福島 いえ、こちらこそ、よろしくお願いします。
 
高木 そもそも弁護士をされていた福島さんが、なぜ国会議員に立候補を?
 
福島 それは土井(たか子)さんにスカウトされたからです。弁護士が天職だと思っていたのに、98年に土井さんに「これから国会の中で、有事立法が五月雨のように出てくる。そんな国会の中で一緒に頑張ってほしい」といわれたんです。
私は「自分は市民運動を楽しくやるのが合っている弁護士だ」と思っていましたが、「9条を変えない、という政党がなくなったら困る。みんなも困るし私も困る」そう思って立候補を決めました。98年に初当選した後、99年に盗聴法、周辺事態法、日の丸君が代国旗国家法ができ、「国会法を改正して憲法を改正する調査会」が設けられ、住民基本台帳法の改悪法が通りました。土井さんは、そういう動きを予測しておられた…。
 
高木 国会議員になって、よかったですか?
 
福島 そうですね。今も忘れない言葉があります。土井さんに「私は一日一日、ハッピーに生きて行くのが信条です。でも議員になったらハッピーってわけにはいかないように思える。議員に向いていないし、なりたくないんです」と言ったら、「一日一日、ハッピーってわけにはいかないけれど、やりがいを感じることはあります」と答えてくれました。それは、本当にその通りでした。国会の中でやりがいを感じていますし、議員になってよかったと思っています。
 
 
集団的自衛権行使は違憲!
 

高木 『地球村』の仲間になっていただいてありがとうございます。『地球村』との出会いについて教えていただけますか。

福島 『地球村』の名前は以前から知っていたのですが、一番よく覚えているのはヨハネスブルクの国連環境会議の時です(2002年)。サッカーの岡田監督や『地球村』の人たちが大勢参加されていて、そこでお話をしたのが出会いです。
 
高木 あの時は、『地球村』は「地球市民国連を創ろう」というアピールをしに、123名で参加しました。世界で最も多くの参加者を送ったNGOとして有名になり、犯罪が最も多い国で一件のトラブル被害もなく帰国したことで、南アフリカの観光局から感謝状が届いたんですよ。
 
福島 そうでしたか。女性たちが和服でアピールしている姿が印象的でした。
 
高木 『地球村』の会員は男女半々ですが、平和運動のこととなると、やはり女性ですね。『地球村』は今、集団的自衛権行使など、日本がおかしくなってきていることに、危機感を持って動いています。
 
福島 安倍総理が集団的自衛権の行使を認めるとしたのは信じ難いことです。安倍内閣は、ある意味、史上最悪の内閣だと思います。戦後69年間、自民党政権も「集団的自衛権の行使は違憲」と言ってきました。憲法を読んで、集団的自衛権の行使を合憲だとする余地はありえません。
 
高木 まったくその通り。解釈改憲などありえない。
 
福島 「戦争をする国にはしない」というところで、保守的な人も含めて連携していきたいと思っています。そして、9条の解釈改憲も明文改憲も反対です。
 
高木 もちろんです。自民党は「戦争をしないために、集団的自衛権行使」「原発は減らすけれど、安全なら再稼働」と、言葉のすり替えやごまかしばかり。
 
福島 今の政治は、「積極的平和主義」と言って積極的戦争主義だし、「汚染水はコントロールされている」と言ってダダ漏れだし、「女性の活躍」と言いながら派遣法の改悪をして使い捨て…。アウシュヴィッツ強制収容所の看板「労働が人を自由にする」と同じくらい、言葉と現実が正反対だと感じています。
 
高木 実は、その言葉を書かされたのは囚人で、ささやかな抵抗の意味を込めて、一文字だけスペルをひっくり返して書いてあるんです。
 
福島 そのことは知っていましたが、そんな意味があったのですか…。
 
 
市民と議員がタッグを組みましょう
 

高木 社民党党首を10年間務められ、振り返ってみていかがですか。

福島 平和と人権を守る政党がなくなったら困ると思ってやってきましたが、状況は悪くなってきています。
安倍総理の計画では、おそらく今年の12月に日米新ガイドラインを作る…。来年の通常国会で、統一地方選挙が終わったら、自衛隊法、PKO法、船舶検査法、周辺事態法など、十数の法律を改正すると言っています。
 
高木 現状の野党の動きや、現状の与野党の票数では、その流れは止められないかもしれないですね。
 
福島 そうなんです。野党が連携して、まずは法案を出させない闘いをしないとだめです。このままでは、米軍と共に、世界中どこにでも行けて武器を使用できるようになり、日本もテロの対象になります。
 
高木 その通り。新ガイドラインは、「有事、周辺事態」を外し、「平時、どこでもOK」という方向ですから、自衛隊は米軍と一体化することになります。
 
福島 それに対抗するために、集団的自衛権、秘密保護法、脱原発・再稼働など、テーマごとに「超党派議員と市民の勉強会」が立ち上がっています。私は個人的には、「憲法バー」「憲法カフェ」などを開催しています。敵を減らして味方を増やすことに心を砕こうと考えています。
 
高木 そうです。総理の民主主義を無視したやり方はおかしいことが、国民的世論にならないとね。
 
福島 まさに「ナチスの手口」なんだと思います。
 
高木 そうさせないように、市民と議員がネットワークしていきましょう。福島さんたちの動きを知らせてください。協力できることがたくさんあると思います。
 
福島 ありがとうございます。そうさせてもらいます。
 
高木 こちらこそ。一緒に頑張りましょう。
 
◆社民党 http://www5.sdp.or.jp/
◆福島みずほ公式サイト http://www.mizuhoto.org/
◆福島みずほのどきどき日記 http://mizuhofukushima.blog83.fc2.com/