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【地球は今…】知事選から見た沖縄

沖縄県知事選挙のタイミングで今の沖縄を知るために落合は沖縄に飛んだ。現地で見聞きした事実と報道の違いなどを今回は報告する。(高木善之・落合眞弓)

●沖縄県知事選挙の構図

候補者名玉城 デニー佐喜真 淳
応援体制「オール沖縄」で企業、労組など幅広い人脈が「イデオロギーよりアイデンティティ」でまとまった「オール安倍政権」で官房長官、小泉進次郎氏など政府・自民・各党オールスターが前面に
主な支援政党立憲、国民、共産、社民、自由自民、公明、維新、希望
前職衆議院議員(自由党)宜野湾市長
スローガン翁長雄志知事の遺志を継ぐ経済優先、政府との関係改善
基地問題と政策辺野古に新基地建設反対
福祉、子育て、多様性重視
辺野古問題に触れず、
沖縄振興を前面に出す
財源政府に左右されない自立型経済政府と関係改善し補助金を得る
日米地位協定米軍に国内法の順守を求め、主権行使を求める日米合同委員会に地方自治体の関与を認めさせる
投票結果・得票数39万6632票31万6458票
  • 佐喜真氏は知事の権限外の『ケータイ代値下げ』や補助金獲得をメインに訴え、辺野古問題には触れず、政府寄りの発言が目立ち、県民の不信を招いた
  • 「沖縄の分断や対立」を生んだのは県民や国民の声を無視した強行姿勢の政府なのに、佐喜真氏や政府応援団は「翁長前知事が分断と対立を生んだ」とアピール
  • その結果、予想に反して、玉城氏は大差で勝利、過去最大の得票

●辺野古問題の本質

★1995年の米兵による少女暴行殺人事件が大きなきっかけとなり、1996年に橋本龍太郎首相とクリントン大統領とで「普天間基地返還」が合意された。
 その後、普天間基地返還が後退、辺野古への基地移転が浮上した。
 これは米側の要求というより、むしろ安倍政権の思惑が大きい
★1997年の名護市の住民投票では辺野古建設NO!
★辺野古新基地建設は1兆円超の一大プロジェクトで税金の無駄使い
★当初はヘリコプター基地案、次に撤去可能な小さな滑走路、現在は2本の滑走路や弾薬庫、海軍強襲揚陸艦(ヘリ空母)を横付け出来る大型岸壁など新機能を追加し強化。長期使用が可能な新基地の計画になっている
★これは、過重な基地負担を固定化し、さらに軍事要塞化していくことになる
★沖縄戦を体験した沖縄県民には、「軍事基地があるところが狙われ、沖縄が再び
火の海になる。軍隊や国は住民を見捨てる」 という強い疑念がある
★翁長前知事は

  • 普天間基地の廃止、県内移設断念、オスプレイ配備撤回を求めた

  • 辺野古の埋め立て承認は撤回

  • これらを全国知事会へ働きかけをした結果
    ・全国知事会は「米軍基地負担に関する提言」を決議(2018.7.27)し、
    ・日米地位協定の抜本的見直しを外務省、防衛省、米大使館に要請(2018.8.14)

  • 沖縄の自己決定権や基地問題への理解を求め海外へ
    ・ジュネーブの国連人権委員会や米国上院議員、国務省、国防総省高官に訴え
    ・米軍基地は人権問題であり、沖縄の経済発展の最大の阻害要因

●沖縄の基地と経済

★基地依存率
 1972年本土返還時15.5%⇒ 2014年仲井真県政5.3%⇒ 2017年翁長県政4.9%
★基地が返還されてからの経済効果
 返還された基地の跡地利用の経済効果は30倍以上ある
 那覇新都心地区の場合

候補者名返還前返還後倍率
直接経済効果52億円1634億円32倍
雇用者数168人15560人93倍

●沖縄は国から補助金頼み?

★補助金依存財政から自立財政へ進んでいる

  • *アジアの国々とともに発展を目指す「アジア経済戦略構想」
       ・翁長前知事は中国・台湾・シンガポール・香港などを親善訪問
    ・その結果、観光収入1800億円増、観光客240万人増、外国人観光客は8倍に

★経済成長率は国が1.3%だが、沖縄県は3.3%で好調
現状では中央集権政治のために地方にお金が行き渡らず、格

現状では中央集権政治のために地方にお金が行き渡らず、格差を生み出しているので、それを是正するための交付金、補助金は当面必要。
しかし、現状の首都中心政策を続けると、首都圏の災害(地震など)があった場合、国の存亡に関わる事態になる。早く、都市機能の分散、地方主権を進めるべきだ。

●「沖縄のこれから」(玉城新知事の演説から)

  • 平和で自然豊かな「美(ちゅ)ら島(とう)(美しい島)」
  • 平和的な自治体外交で、アジアや世界の人々との交流を深める
  • 新しい沖縄をひらき、沖縄らしい優しい社会を構築する!

沖縄に“結(ゆい)マール”(相互補助)や“チムグクル”(温かい思いやり)の伝統がある。この精神を大切にし、平和で豊かな沖縄を実現できれば、沖縄から日本全体も変わるだろう!