【地球は今・・・】民意も手続きも疑問の原発回帰
今月は福島原発事故から 13 年目になる。政府は、ウクライナ問題のどさくさ紛れに、国防の強化と並んで原発回帰を始めた。岸田政権の強引なやり方、国会審議なしに、国民の声も聞かずに、うやむやにして丸め込むやり方をまとめた。 (落合眞弓、高木善之) |
●文科省の『放射線副読本』
文部科学省がとんでも BOOK『放射線副読本』を全国の小・中・高校、公民館に配布。
「放射線安全教育」として教職員研修もセットになっている。内容は、「健康影響はない」と洗脳するもの。あまりにもひどい内容なので配布を中止したり、配布後に苦情が殺到して回収した学校もある。
*『放射線副読本』PDF 版のダウンロード https://onl.sc/RL3fHr1
★これに対して
「こんなことを子どもに押し付けてもいいのか」と疑問をもったお母さんたちが、問題点を明らかにした『放射線副読本 すっきり読み解き BOOK』を専門家の協力を得て作った。
*無料ダウンロード https://onl.sc/j8TF3g8
★読み解きのポイント
- 「放射線は身の回りにあり、ゼロにすることはできない」
⇒原発の放射線を自然界の放射線と同列に扱い、原発が安全であるような印象操作 - 「避難した子どもたちがいじめを受けている」
⇒原発事故を「いじめの問題」にすり替えている - 事故の原因、事故の状況、内部被ばく、避難者の苦労など重要問題に触れていない
- 放射線区域を厳重管理していることなどには触れず、放射線の危険性を隠している
- マリー・キューリなど多くの放射線の研究者が指や腕を切断したり、白血病などに倒れ
たことには触れていない
実際、政府刊行のパンフレットは驚くべき内容だ。
*『すっきり読み解き BOOK』を出版したお母さんたちのように、政府やマスコミの情報を鵜呑みにしないで自分たちで調べ、考えていきたいものだ。 |
●国民にリスクとコストを押し付ける原発回帰
一部の自民党議員さえ「電力が足りない、再エネは不安定、蓄電池は調達出来ない」と思い込まされて原発回帰を進めている。議員でさえ、現状認識ができていないのだ。
★事実は明らか
- 福島原発事故後の 2014 年、原発は 1 基も稼働せず電力は足りていた
- 省エネで電力需要は減っている、今後は少子化もありさらに減少が予想される
- 原発事故後、再エネ(自然エネ)への投資が遅れた。なぜか?
⇒政府も原子力村も初めから原発回帰をねらっていた - 日本は他の国より洋上風力や地熱など再エネのポテンシャルが高い
- 原発はリスクが高い。事故は起きれば取り返しがつかない
- いまだに福島原発の事故後の処理、廃炉の見通しが立たない
- 使用後の廃棄物の処理問題は未解決
- 原発はトラブルが多く運転停止が多いのでベース電源にはなりえない
- 原発は電力消費に合わせた調整(ON、OFF)も効かない厄介なシロモノ
- 「次世代型革新炉」の開発は、現状同様制御が困難であり危険、経済合理性もない
- 再エネなどの小規模発電を地域で設置し、電力のピークカットを徹底すべき
●ドイツの原発政策
▼ドイツはチェルノブイリ事故で反原発の動きが大きくなり、1998 年にはシュレーダー首相率いる SPD と緑の党による連立政権が成立し、脱原子力政策を打ち出した。
*2000 年 原発を段階的に閉鎖することで電力会社と合意
*2002 年 運転期間 32 年に達した原発を順次、閉鎖
*2011 年 福島原発事故で脱原発を強化。最も古い原子炉 7 基の停止を指示、停止中の 8 基の再稼働を禁止、運転中の 9 基も 2022 年までに閉鎖を決定
*2022 年 最後の 3 基が年内に運転停止する予定だったが、ウクライナ問題が発生
⇒「2023 年 4 月まで稼働可能な状態を維持する」と発表。脱原発は変わらない
▼一方、岸田首相はウクライナ問題を口実に、国会議論なしに原発回帰(運転期間の延長、増設新設を含む原発の建て替え)、さらに「次世代型革新炉の開発」などを既成事実のように立て続けに打ち出した。
●現状の日本、現状の日本政府
- 事実と違うことや都合のいいことだけを伝えて、国民を騙す
- 重要なことを国会審議もなしに、国民の理解もなしに、閣議決定する
⇒閣議決定は身内の相談会であり、法的にはなんの意味もない
私たちは、こうした現状をしっかり認識し、投書、投稿、インターネットなどあらゆる方法で意見を述べ、選挙で不適切、不徳、悪徳政治家を落選させなければならない。