スペシャル対談

2005年3月号 衆議院議員 鳩山邦夫さん


2月4日(金)ラジオ日本(23:00~23:30)の「鳩山邦夫のエコトーク」に高木さんがゲスト出演しました。その模様をご紹介しましょう
 

「無知・無関心・無責任が大きな原因」


鳩山 私は政治家として「環境革命をやらなくちゃならない」と思っております。しかし、一度に大勢の方に説明することがなかなか難しい。そこで、せめてこの番組で、環境問題をみなさんに知っていただきたいと思っています。高木さんのことは、前からよく存じ上げて、講演も伺っております。もう何千回と環境などの講演をしておられる。こういうすばらしい方がおられるということを、より一層知っていただきたいと思って、今日はゲストでお呼びしました。

高木 ありがとうございます。ネットワーク『地球村』は、「美しい地球を子どもたちに残そう」という気持ちの人たちで、ネットワークしていこうと作りました。私は現在のさまざまな問題は、「無知・無関心・無責任」が大きな原因だと思っています。まず、「関心を持ってもらう」、「事実を知ってもらう」そして「できることをやってもらう」。そんな気持ちで始めた講演は3000回を超えました。

鳩山 これだけの講演活動を続けられるとは、信じられない話です。私は、心から尊敬しております。とにかく高木さんの話をみんなでもっと聴いて、そしてこの環境革命をやろうというのが、私の気持ちなのです。高木さんがこうした活動を始めるきっかけがすごく劇的でして、ぜひその話をお願いできますか。
 

「自分の命はみんなの幸せのためにある」


高木 33歳のとき、交通事故に遭い、首の骨折などの大怪我で、意識不明の重体になり、医師から「社会復帰不可能」という診断を受けました。長い長い入院生活の間、いろんなことを考えました。「人は何のために生きるのか」、「自分は何のために生まれてきたのか」「これからどう生きていけばいいのか」など...それを考え続ける中で、やっと生きる意味、生きる目的を見出しました。「誰もが幸せを求めている。それにもかかわらず、みんなが幸せになれないのはなぜだろう。それは自分だけの幸せを追い求めるからではないだろうか。みんなの幸せこそ、本当の幸せ!本当の幸せは、みんなが幸せであること!」ということに気づきました。そしてそのことに一生をかけたいと思ったのです。「みんなの幸せ」に最もつながる生き方とは何かと考えた結果、「環境と平和」に関わる生き方を決意しました。この気付づき、この決意がなければ、いまの私はいなかったと思います。

椎名倫子(アシスタント) 『地球村』の活動として、最初に始めたことは何でしたか?

高木 まず自分が事実を知らないといけないということで、アマゾンや途上国など、いろいろな環境破壊の現場に行って、「なぜそれが起こるのか」ということを調べました。するとその根本原因のすべてが私たちの生活につながってくるのです。例えば今、スマトラ沖地震・津波の被災地では、子どもたちがさらわれ非常に大きな問題となっています。安い労働力、売春、臓器移植などの目的として、子どもたちが人身売買されているのです。その数、数千人。本当にひどい問題です。ここで、事実を知るということでお話ししたいのは、このひどい事件の「本当の犯人」は誰なのかということです。①人さらい、②闇のブローカー、③悪徳経営者、④安いものを買う善良な市民。おわかりでしょうか。結局、安いものを買う善良な市民がいなければ、不当に安い労働力を求めようとはしない。つまり需要と供給の関係なのです。私たちの「無知・無関心・無責任」が、こういう問題を招いているのです。

椎名 何も考えずに安いものを使っていました。これは『地球村』の活動内容や理念にも通じてくると思うのですけれど、その辺りをお話いただいてもいいでしょうか。

高木 私たちの活動には、3つの方針があります。①事実を伝える、②自分のできることを実践する。③提案する。抗議、要求、戦いではなく、提案するのです。私たちの一番の特徴は「非対立」です。いくら正論であっても、抗議されれば嫌でしょう。正しいことでも、主義主張をされると嫌でしょう。だから対立的な姿勢をとらずにやっていこう、つまり「非対立」というのが、『地球村』の一番の理念なのです。
 

「人間の欲望を無限に拡大させない哲学」


鳩山 地球環境問題についてたいへんな知識をお持ちで、解決法も考え、実践もしておられる高木さんが、今の地球の全体像を考えて、一番気にしておいでなのはどの点でしょうか。

高木 地球環境問題としては、やはり①地球温暖化。そしてそれによる②異常気象。そこから出てくる③食糧問題です。それが最大でしょうね。そこから生まれてくる④貧富の差。⑤貧困問題。そして貧困問題は、⑥飢餓の問題と、⑦戦争紛争を起こしますから、結局、地球温暖化というのは、ありとあらゆる政治経済の問題に結びついていきますね。

鳩山 温暖化が進み、人口は爆発する。しかし食糧生産は減っていく。どこかでクロスしてしまうでしょうか。

高木 もう実はクロスしているからこそ、1日に5万人もの子どもたちが餓死しています。今、人口64億人の中の10億人が飢餓貧困。ところが同じ人数10億人が飽食と贅沢をしています。

鳩山 ああ...我々を含めてですね。

高木 地球というタイタニック号の一等船客が10億人、今にも死にそうな三等船客が10億人。だから私は、一等船客10億人に「二等船室に降りましょう」、そして三等船客の人たちに「二等船室に上がっておいで」と言いたいのです。そうすれば地球はOKなのです。

鳩山 それでも食糧が足りないということが、将来的にあるでしょうか。

高木 実は、穀物の生産量は十分にあります。問題は豊かな国がそれを浪費して無駄にしていることなのです。豊かな国では穀物を家畜のえさにして肉食として消費することによって10倍もの穀物を消費しているのです。今では中国も肉食が増えることで穀物の輸入国になりつつあります。私たち豊かな国が贅沢を減らし、二等船室に降りることが必要なのです。


鳩山 温暖化の次の問題は何でしょうか。

高木 国連で取り上げる地球環境問題は9つ。その中で温暖化の次は森林破壊と砂漠化です。これも本当は別々の問題ではなく、つながっています。経済拡大ということで、どんどん森が切り開かれていく、そのことによって農地がなくなっていく、そのことによって飢餓貧困が起きるというように。

鳩山 そうしますと、結局人間の欲望が無限で、拡大を続けているから、ということになりますね

高木 おっしゃる通りです。

鳩山 結局は欲望をどう抑えるかという技術、というか、哲学が必要になってくるのですね。

椎名 それでは、高木さんから政治家・鳩山邦夫さんに一言お願いします。

高木 企業の仕組み、リユースさせる仕組み、これは自動車リサイクル法や家電リサイクル法はありますけれど、結局、市民にお金を払わせるから不法投棄が出てしまうのです。ヨーロッパのように、廃車手続きをすればデポジットされたお金が返ってくるような仕組み作り。そして、物流の全体としてのサイクル、そこを考えるトータルデザイン。ご承知のようにLCA(原料段階から廃棄までを含めた環境評価)の仕組み作りをぜひ進めていただきたい。そして、市民がボランティアとしていろいろな動きをしていますから、政治と市民との協働をお願いしたいと思います。

椎名 最後にリスナーのみなさんに一言お願いします。

高木 多くの人が世の中を変えたいと願って活動をしています。私も『地球村』という市民ネットワーク(国連NGO)を作って活動しています。まず本を読んでいただきたい。そして講演を聞いていただきたい。自分の贅沢飽食を少し減らして、困っている人に愛の手を差し伸べていただきたい。

鳩山 本気で環境革命をやろうとしている政治家というのは圧倒的に少数派です。だから、環境税の導入だって、いつできるかわからない。だから我々は立ち上がって政治的に動こうと思います。高木さんの講演を聴かれた方々が、我々と一緒に行動してくれれば本当にありがたい。今後も高木さんと連携をして未来社会のためにがんばっていきたい。そう思います。

■『環境党宣言 鳩山邦夫著 河出書房新社
1,575円(税込み)
「経済成長なくてもしあわせな国づくり」をめざす1人の政治家が書いた環境の本