【地球は今...】ぼくたち、私たちの未来はどうなるの?~世界のエネルギー・食糧の現状と私たちの未来~
今回の「地球は今…」では中国のエネルギー、食糧事情を通じて、21世紀の世界情勢や私たちの生活について考えてみたいと思います。
大阪事務局 羽鹿秀仁
■急成長する中国経済
1978年に開放政策を始めた中国経済はこの20年間、GDP(国内総生産)が毎年9%近く成長しています。
ちょうど東京オリンピックに向けて高度経済成長が続いた頃(50~30年前)の日本と同じような経済成長が続いています。
すでに上海や北京では高層ビルが立ち並び、東京や大阪とほとんどかわらない町並みになっています。
■エネルギー需要が急増
こうした経済成長の結果、石油の輸出国だった中国は1993年に石油の輸入国に展示、2003年の原油輸入量は前年比30%以上も増加しています。
急速な工業化、自家用車や家電製品の普及と電力消費の増加、石炭から石油への切り替え等が急速に進み石油需要が急増しています。
このまま行くと2030年には、中国一国だけで世界市場で取引されている原油のほとんどを輸入することになると予測されます。
もちろん石油だけでなく石炭、天然ガス等の消費もどんどん増えておりエネルギー価格が急上昇しています。
全世界で原油の需要が急増し、連日、「原油価格が史上最高値を更新」というニュースが流れ、原油価格は1バレル70ドルを超える水準まで上昇しました。 |
■食糧についても輸入国に
急速な経済発展に伴い食糧生産にも大きな影響(農業に大きなマイナス要因)が出ています。
- 工業団地、自動車道路、住宅、ショッピングセンター等の建設のために耕地が大幅減少
- 黄河の断流のような水不足、首都北京の郊外まで迫っている砂漠化
- 全国の農地の2割が重金属汚染(水俣病やイタイイタイ病が発生する可能性)
- 毎年のように繰り返される洪水やかんばつ、異常高温等が発生
中国の穀物生産は1998年をピークに減少を始め、2004年には5000万トンも落ち込んでいます。
そして2004年に史上初めて食糧の輸入国になり、2005年には2,400万トンもの穀物を輸入すると予想されています(日本の食糧輸入は年間2,800万トン)。
また、中国では食生活の欧米化が始まり、食肉、乳製品、卵、食用油等の消費が急増、これに伴い飼料用の穀物の需要も大幅に増加しています。
この結果、世界中で穀物価格は上昇、在庫は減少を続けています。
■食糧とエネルギー自給率向上が急務
一人当たりのエネルギー使用量はアメリカから30年遅れで日本でのエネルギー消費が急増、更に30年遅れで中国が追いかけています。
13億の人口(日本の10倍)を抱える中国が日本と同じ生活水準になると地球がもう1つ必要になるといわれています。
世界を見渡すと中国に続いてインドや東南アジア、中南米の国々が経済成長を続け、エネルギー、食糧の需要が急増しています。
しかしエネルギーも食糧もこれ以上の増産は難しくなってきています。それに異常気象が追い討ちをかけています。
このままいくと、今世紀はエネルギーや食糧を確保するために奪い合うような混沌の時代になるかもしれません。
今まで日本は、価格が安いからとエネルギーや食糧を世界中から輸入して大量に消費してきました。 ※日本のエネルギー自給率は4%、穀物自給率は24%しかありません。 |
■私たちにできること
エネルギー・食糧危機とそれによってもたらされる破局を避けるために私たちひとり一人にもできることがあります。
- エネルギー消費をへらす(できる限り車を使わない、エアコンの使用を減らす、家族団らん)
- 自然エネルギーへの転換(風力発電等の自然エネルギーへの投資、グリーン電力を購入する)
- 肉食をへらす(食肉の生産にはその数倍の穀物が必要)
- 食べ残しをへらす(日本の食糧の27%が賞味期限切れや食べ残しで捨てられています)
- 地産地消をすすめる(地域生産・消費によって食糧増産・輸送エネルギーの削減両面で有効)
- 家庭菜園を始める(ドイツでは野菜の30%が家庭菜園で作られています)
できることから始めましょう。