【地球は今...】もったいない(2)
前月号では、私たちの生活50年を振り返りましたが、生活のなかで気づいたこともあったかと思います。
今回は、私たちの生活が海外にどの位依存しているのかを見てみましょう。
大阪事務局 渡辺裕文
●食糧自給率は?
日本の穀物自給率はなんと28%、日頃食べている穀物の4分の1しか日本で生産されていません。
これは、先進国の中でも最低の率です。
世界173カ国で比べても124位と驚くべき低さになっています。さらに主食に関係ある穀物を見てみましょう。
小麦: 14% (パンやうどんなどの原料)
大麦: 9% (ビールの原料)
大豆: 3% (味噌やしょうゆなどの原料)
※私たちの食生活が「海外からの輸入なし」では成り立たなくなっていることがよく分かります。
これは、私たち日本人が何よりも経済効率を優先してきた結果なのではないでしょうか。
●卵の自給率は9%って本当!?
卵や鶏肉、乳製品などは国産が多いと考えがちです。
しかし、牛や鶏の飼料(えさ)の大半は輸入しているのが現状ですから、それぞれの自給率は、畜産物の飼料の自給率を考慮することも必要になります。
そうすると下の表のようになり、卵の自給率が9%というのが実情なのです。
カロリー自給率 | =(自給率)×(飼料自給率) | |
牛 肉 | 10 | = 39 × 26.2 |
豚 肉 | 5 | = 53 × 9.7 |
鶏 肉 | 6.5 | = 67 × 9.7 |
鶏 卵 | 9 | = 96 × 9.7 |
牛乳・乳製品 | 29 | = 69 × 42.3 |
ほとんどの食肉も自給率は10%以下になっています。
私たちの肉類の消費が、この50年間で約10倍に増え、その分、畜産物の分野でも自給のできない消費社会を作ってしまっているのです。
●地球の裏側から運んで廃棄している!
小麦や大豆、飼料(トウモロコシ)は、主としてアメリカやカナダ、ブラジルなどからの輸入です。
地球の半周近くを、船や飛行機、トラックなどで大量のエネルギーを消費して運んでいます。その後、私たちの食卓などに並ぶわけです。
その一方で私たちは”年間3000万人分”の食糧を食べずに廃棄しています。”毎日”ですよ。
これが、日本の食生活の実態なのです。大量のエネルギーを使って運びながら、食べもせずに捨てられている、本当にもったいない話ですね。
●日本の衣類自給率は?
みなさんの衣類には、どの生産国名のタグが付いていますか。私たちは、綿や麻を100年ほど前までは、自給していました。
しかし現在では輸入に依存し、繊維の自給率は35%といわれています。
国内での衣類の生産も減少し、既製品は下着類も含めて年間約30億着も輸入しています(日本関税協会資料)。
糸を作る原料の綿花や羊毛は、商業ベースでは100%輸入、もちろん化繊の石油は100%輸入です。
現在、日本では僅かに生糸が生産されているに過ぎません。畜産物と同様に衣類も原料を考慮すると自給率は1%程度というのが現状です。
●日本の衣類事情はどうなっているのでしょう
みなさん、この1年間に購入した衣類を思い出してください。
日本全体では、年間約40億着の服・下着などを購入し、ほぼ同じくらいの衣服を捨てています。
リサイクルを上手く活用されている方もいますが、この内のほんの一部にすぎません。
また、家庭内にある3分の1の衣類が、『タンスの肥やし』といわれ着用されないのが実状です。
原料の綿花は、遠くアメリカ、ブラジル、オーストラリアなどから、羊毛もオーストラリアなどから、まさに地球の裏側から運ばれてきたものです。
『時代遅れ』は恥ずかしいなどの理由で次々と替えたり捨てたり。本当にもったいないですね。
★「衣食足りて礼節を知る」という言葉があります。 日本は、衣食が自給できていない国なのに、多くのものを地球規模で移動させた上、大量のものを使うことなく捨てています。 生活の基本の「衣食」をもう一度見直してみませんか? |