地球は今

【地球は今...】もったいない(5)

前回(シリーズ4)までは、生活の中の「もったいない」を考えてきましたが、今回は、私たちの「健康」について、「もったいない」という視点で見てみましょう。
特に「飽食」と「たばこ」について考察します。「日本は世界でもっとも長寿な国」なんて安心していられませんよ。
大阪事務局 渡辺裕文

生活習慣病

最近、「豊かさ」「便利快適」⇒「飽食」「喫煙」「運動不足」という構図によって、生活習慣病(肥満、糖尿病、高血圧症、高脂血症など)が増加し、心筋梗塞や脳卒中、ガンなどが死亡原因の6割(50万人)にも上ってきました。

日本人で生活習慣病の可能性のある人は
糖尿病    1620万人
高脂血症  3000万人
高血圧症  5100万人

生活習慣病にかかる医療費は、日本の医療費全体の3分の1(約10兆円)にもなり、国民一人当たりに換算すると約10万円の負担になっています。

●飽食

飲食店、惣菜屋さん、弁当屋さん、ファーストフード店、コンビニ・・・・・身近にたくさんの食料品店があります。
お腹がすいていなくても時間が来れば食事、話をするために食事、時間つぶしに食事、特に必要はなくても食事、お菓子、飲み物など。
コンビニは24時間オープンして、いつでもあなたを待ち受け、あたなに「飽食」の誘惑をしています。日本のこの状況は世界でもめずらしいです。
廃棄食糧は年々増加し、今では食糧の4分の1を廃棄しています。
(2005年8月号の廃棄食糧のはなしの『日本の廃棄食糧』のグラフをご参照ください)
なんと廃棄食糧は11兆円分(文部科学省資源調査会報告)になり、国内の農水産業の生産額に匹敵しています。
つまり、私たちは毎年11兆円(4人家族なら40万円分)の食糧を無駄にしながら、さらに、その処理に2兆円(4人家族なら8万円)も無駄に使っているのです。

タバコ

(国連WHO報告より)

世界中で1日に消費されるタバコの量は150億本、1年間では5兆5000億本。
毎日1万5千トンのタバコが煙となって消えています。

日本の消費は、中国、アメリカに次いで世界第3位(年間で3280億本)。
一人当たり(年間3000本)も先進国で第2位。輸入は830億本と世界第1位!日本は、まさにタバコ大国なのです。

タバコにかかる費用
日本のタバコ販売は年間4兆円。喫煙者1人が毎年12万円ずつ使っています。
喫煙による病気の治療費や病気が原因の失業、たばこが原因で火事になったときの損失などの経済的損失は、全部で7兆3000億円になります。
(衣料経済研究機構報告、JT)

タバコによる死亡者数
「タバコは1日に1万3000人、1年間で490万人を殺しています。
世界の死亡者の10人に1人はタバコが原因」と国連WHOが報告しています。
日本の死亡者も年間11万人、全死亡者の一割の原因が喫煙によるものです。(英オックスフォード大学報告)

タバコに使われる紙
タバコ1本の紙は0.1グラムですが、外箱や輸送用の箱を入れると年間約30万トンの紙を使用しています。
日本の紙消費の1%、紙の原料の木材では木造住宅40万軒分に相当します。

タバコ栽培の農地面積
タバコの栽培農地は世界中で4万平方キロ。それだけの農地を食糧生産に回すと4億人分の食糧が生産できます。
日本人のタバコ消費分の農地だけでも2400万人分の食糧に相当します。

※有害な『タバコ』をつくるために、これほど膨大な農地や資源・エネルギーを使い、お金を支払い、結果として病気になり、命を落としています。

以上、今回出てきた「もったいない」のお金
タバコ(喫煙者) 12万円
廃棄食糧(国民一人あたり) 10万円
廃棄食糧のゴミ処理費用(国民一人あたり) 2万円
生活習慣病の医療費(国民一人あたり) 10万円
合計 34万円

わたしたちは、『飽食』や『タバコ』で無駄なお金を使い、健康を害し、一方でその治療のためにたくさんのお金、時間などを費やしています。
本当にもったいない話です。
特に『タバコ』については、不健康やお金、時間がもったいないだけではなく地球環境に大きな負担をかけています。
喫煙をされている方は、『タバコ』をやめませんか…。