地球は今

【地球は今...】「地域の活性化」~住民参加の町マレーニ~

市町村の財政破綻や過疎化が問題になっています。今回は、地域の活性化に成果を上げた町の取り組みをご紹介します。
マレーニは1970年代まで普通の田舎町でしたが、現在では世界中から多くの人が見学に来る住民参加の先進的な町になりました。

マレーニはどんな町

オーストラリア、クィーンズランド州にある人口数千人の小さな町。オーストラリアの「コープの首都」と呼ばれています。
暮らしに必要なすべての分野に20以上のコープ(協同組合)を作ることで、周辺の同じ規模の町が地場産業の衰退などで活力を失っている中、活気のある町づくりが行なわれています。

コープって?

一人ではできないことを実現しようとしたときに、同じ考えを持った人が集まって共同で目的を達するための組織です。
コープはメンバー(参加者)の総意で運営され、メンバーがコープを所有(出資している)しているため、コープの成功に責任と関心を持っています。
非営利を目的にしているので、利益はコープのサービスの拡大や地域の発展に使われます。

マレーニとコープの歩み
  • 過剰な森林伐採や酪農による土地の荒廃、地場産業の衰退による過疎化など、マレーニは1970年代まではさびれた町でした。
    しかし、町に引っ越してきた主婦たちが自分たちの食糧(玄米など)を入手するために共同購入をはじめ、自分たちの手で自然食料品コープを設立しました。
  • 地域でお金を循環させ、雇用を創出するためのコミュニティ銀行を設立しました。
  • 地域通貨を使った流通システムを作り、多くの人たちが自分たちの特技を生かし、コミュニティへ参加できるようになりました。
  • 需要が高まった事柄、分野に、住民自身がさまざまなコープを設立し、生活に必要なほとんどの分野をカバーすることで、経済的にも地域で独立できるようになりました。
どんなコープがあるのでしょう?

マレーニには次のような機能を持つ小規模な20以上のコープがあります。

  • 自然食品店、カフェ
  • 銀行、地域通貨のコープ
  • ビジネスの設立を手伝うコープ
  • ラジオ局
  • リユース(自宅で不要になったものを自由に交換できる)コープ

など

さまざまなコープが有機的に結合し、町を活性化しています。
たとえば、新規に事業を始めたい人は、銀行コープで融資を受け、事業指導のコープで援助を受けながら成功するというケースもたくさんあります。
代表的なコープ、自然食品店とコミュニティ銀行について紹介します。

  • 自然食品店(メープルストリートコープ)
    1980年に地元の有機野菜を販売するお店としてオープン。
    オープン当初は、有機栽培以外の野菜なども販売していましたが、どんどん有機栽培へ転換していきました。
    「オーガニック(有機栽培)のもの、地元産や国産のものを販売する。
    環境に配慮していない商品、遺伝子組み換えのものなどは販売しない」という考え方のもと、現在は野菜だけでなく、調味料、書籍、エコバックなども販売しています。
    コープのメンバーは約900名。年会費を納めて登録すると5%の割引で商品が買えるほか、総会での議決権を持つことで、運営に意見が反映されます。
    店の店長もスタッフも同じ給与、全員の同意で新しいスタッフを採用し、全ての部門のプロになるように、仕入れから在庫管理まで、定期的に部門をローテイションします。
    スタッフミーティングは、全体ミーティングのほか、ペアで改善点とすばらしい点を伝え合うため、人間関係が原因でスタッフが辞めることはありません。
  • コミュニティ銀行(クレジットユニオン)
    マレーニのコープの中心的な役割を担い、銀行としての機能のほか、大手銀行からお金を借りることのできない地元の人や地元の事業に限って融資しています。
    現在、6000人以上のメンバー、14人の有給スタッフ、1500万ドルの資産を持つほどに成長しました。
    さらに、利益の1割を地域への助成金事業に出資、銀行で紙を使うたびに地元の環境団体にエコ税を支払う、銀行で使う物は地元で購入するなど、数多くの地域貢献活動を行っています。
コープや地域活動を活性化させるための法則(ゴールデンルール) 
  1. 小さく始める
  2. 同じような経験をした人から学ぶ
  3. 得意なこと、できることから多くの人に参加してもらう
  4. お互いがみんなの役に立っていることを確認しあう
  5. 協力して働くことが大切であることを伝えあう
  6. 最低二人以上がそのプロジェクトの全体像を把握している

 

これは、多くの活動をするときに参考となる考え方です。

【私たちにできること】
  • 「自分たちの町を、自分たちでつくっていこう」という意識を持ちましょう。
  • 日本でも消費者参加型の活動が広がっていますが、私たち一人ひとりが暮らしにつながるものにより関心をもち、積極的に地域づくりへ参加しましょう。

☆今回の参考資料の書籍とDVDを、ぜひご覧ください

  • 書籍 「持続可能な暮らし方inオーストラリア」 500円
  • DVD (写真右) 「豊かなコミュニティの創出~コープの首都マレーニの小規模協同組合~」 2,500円

《販売あるがまーま》
http://www7a.biglobe.ne.jp/~arugama-ma/
・連絡先 ⇒infoarugamama@yahoo.co.jp