巻頭言

【巻頭言】 脳の重さ

霊長類(チンパンジーから現代人まで)の脳の重さと種の存続を調べました。

1000万年前、チンパンジーなど霊長類が出現、脳は400グラム、現在も存続。
500万年前、人類の特徴を持つ祖先が出現、500グラム、250万年で絶滅。
250万年前、ホモハビリス(直立歩行)、800グラム、150万年で絶滅。
100万年前、ピテカントロプス(ジャワ原人)1000グラム、70万年で絶滅。
30万年前、ネアンデルタール、クロマニヨン1600グラム、20万年で絶滅。
10万年前、現代人(ホモサピエンス)出現、1400グラム、まもなく絶滅か。

以上は、何を意味するのでしょう。

★脳はだんだんと重くなった
猿が4本足歩行からしだいに直立歩行になるにしたがって、手を自由に使い、道具を使えるようになったこと、
それにしたがって脳が発達し重くなり、直立歩行は重くなった脳を支えられること。
このことでだんだんと脳が重くなり、知恵が発達しました。

★より脳が大きい種の出現と同時期に、以前の種が滅びている
脳の大きい新種が現れてしばらくすると、以前の種を滅ぼして、脳の重い種は、その後、より短期間に自分も滅ぼされたか、自滅して消えていきました。
脳が大きいことは、生きる上で有利なはずなのに、なぜ短命なのでしょう・・・。

★脳が重いほど絶滅が早い
種の絶滅は、なぜ起こるのでしょう。
環境に順応できた種は生き続け、環境に順応できなかった種は絶滅します。
これが、生物の歴史です。
チンパンジーは、400グラムの脳で環境に順応できたが、400グラムよりはるかに重い脳を持っていた私たちの先祖は環境に順応できなかった。
これはどういうことを意味するのでしょう。

脳が大きいほど、頭が悪いのでしょうか。

★頭(脳)は使いよう
サルやチンパンジーは、400グラムの脳で、自然に順応し、環境に順応して生きることができます。
さらに多少の余裕があり、人間が飼いならしたり、ペットにすることもできます。
芸を覚えたり、新たな知恵を持つこともできます。
しかし、私たちは1400グラムというはるかに大きい脳を何に使っているのでしょう。
単純にいえば、自然や環境に順応して生き延びるには400グラムで十分なのです。
しかし、それ以外の1000グラムの余裕を何に使っているでしょう。
私たちは、1000グラムの余裕を、「自然環境に順応することに使っているのか、自然環境の破壊に使っているのか」ということです。

★農業を始めた
人は1万年前に農業を始めました。これは他の霊長類がやらなかったこととされています。
しかしネアンデルタール、クロマニヨンは十分その能力があり、ただその証拠が発見されていないだけだと思います。
農業は、脳が400グラムのチンパンジーではできません。
つまり「自然に手を加え、環境を変える行為」の第一歩でした。
農業によって食糧確保が有利になり人口が増えました。
そのとき、森林の破壊や人口増大など大きな問題に気づけばよかったのですが・・・。

★逆に産業革命に突き進んでしまった・・・
人は、その大きな脳を、自然との調和、他の生物との調和、環境保全、人類の生存の方向に使えばよかったのに、逆に、絶滅の方向に使ってしまいました。
産業革命、火薬、石油、石炭、電力、化学物質、経済拡大、大量消費、物質文明、環境汚染、環境破壊、地球を破壊する最終兵器(核兵器)・・・。
困ったことに、過去のどの絶滅とも違って、地球上のほとんどの生物を巻き込む絶滅に向かっています。

★まだチャンスはある
私たちは、「自然を破壊し、環境を変えること」に使ってきた大きな脳を、「自然を守り、環境を守ること」に使えばいいのです。
「経済拡大」「物質的豊かさ」を追い求めてきた、これまでの文明の方向を転換することなのです。
具体的には、どうすればいいのか。
節電、省エネ、ごみを減らす、マイ箸、マイカー利用を減らす、飽食をやめる、贅沢をやめる、
タバコをやめる、自分の実践をもとに、周りに知らせる。
できることから始めればいいのです。
紙面が足りません。あとは、どうぞ、『新地球村宣言』をお読みください。