地球は今

【地球は今...】地球環境概況「地球は今」

国連環境計画(UNEP)が地球環境の現状をまとめた「第4次地球環境概況(GEO-4)」やIPCC、UNDP報告など、地球環境についての報告書が相次いで発表されています。
こうした報告書から、改めて地球環境の現状をまとめてみます。

地球環境の20年

地球規模の環境問題について「環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会)」が、1987年にまとめた最初の報告書 “Our Common Future" 『我が共通の未来』から20年が経過しました。

 〔人口などの増加と農地の減少〕

  • 地球全体の人口は50億人から67億人
  • CO2排出は220億トンから260億トン
  • GDPは21兆ドルから35兆ドル
  • 一人当りの農地面積は2.6haから2.0haに減少(右表)

〔環境問題〕
主要な課題である気候変動、種の絶滅、食糧危機といった問題は未解決のまま
⇒この20年間の対策は不十分であった。

〔影響は必ず弱者に〕

  • 洪水、干ばつ、ハリケーン、地震等の自然災害の被災者は年間2億人以上
  • 1992年~2001年で最も頻発した自然災害は洪水
  • 全世界で12億人が被災、被災者の9割が途上国、死亡者の過半数は貧困層
環境問題の状況

〔地球温暖化〕
気候変動の影響は明白でさまざまな現象が各地で起きています。

  • 20世紀に平均0.74度の気温上昇を記録
  • 過去125年間のうち、最も高温を記録した年(11年)が1990年以降に集中
  • グリーンランドの氷床などの融解による海面上昇
    北極では世界平均の2倍の速さで地球温暖化が進行、10年で約9%の海氷が減少
    そのほか、食糧生産の減少、気候変化による病原菌の拡散など
  • ⇒今後、熱波、暴風雨、洪水、干ばつなどの頻度や規模が増大

〔オゾン層破壊〕

  • 多くの国で皮膚がんや白内障の増加、カエルなど両生類の減少などの影響
  • オゾン層を破壊するフロンガスなどの規制条約(モントリオール議定書)が遵守されても回復は2060年~2075年ごろ。
    しかし、日本の排出規制は非常に緩く、一部の途上国では、まだ生産が続けられています。

〔森林破壊〕

  • 熱帯林は毎年約13万平方キロ(日本の面積の3分の1に当たる)ずつ減少
  • ⇒地球温暖化、生物種の減少に大きなダメージ

〔生物の多様性〕

  • 森林の砂漠化、土地の重金属汚染、海洋汚染など破壊が今も続いている
    ⇒種の絶滅が加速度的に増加
  • 漁獲量は乱獲により減少が続いている
    ⇒人間の食糧供給の減少だけでなく、生物種の減少を引き起こしている

〔水危機〕

  • 地球規模でみて、人間の病気や死亡の最大要因は汚染された水によるもの
  • このままでは2025年までに、世界人口の3分の2(50億人)が水不足に

〔大気汚染〕

  • 工業の生産過程、自動車などの排気による劣悪な大気汚染
  • ⇒深刻な健康への影響、200万人以上が死期を早めていると推計
地球環境はすでに臨界点

たとえば、これ以上地球温暖化が進むと、生態系(食物連鎖)の崩壊が加速します。

  • 気候変動により植物の成長時期や開花時期が変化
    ⇒木の葉を食べる幼虫、花の蜜を吸う蝶の出現時期と植物の成長時期がずれ、幼虫は葉を食べられず激減、花は受粉できないために実をつけられず種ができない。
    幼虫を餌にしていた小鳥、小鳥を餌にしていた大きな鳥も次々と減少し、取り返しの付かない生態系の崩壊が起きる
  • 二酸化炭素の急増により、海水中の二酸化炭素も増加
    ⇒二酸化炭素(炭酸ガス)が海水中で増えることで海水が酸性化し、海水の酸性化で珊瑚や微生物の殻(カルシウム)が溶けて死滅。
    微生物(餌)の減少で、魚など海洋生物が減少し、海水中の有機物が分解されず汚泥となり、海洋汚染が進む。

こうした変化は一度起きるとその回復はきわめて困難です。

「人類そのものの生存が危機に瀕している。
今こそ結果重視の革新的な制度を導入、持続可能な社会へ向けての移行を進める必要がある」(UNEP報告)
「問題を作り出した豊かな国々が、世界の貧しい人々の夢と希望がむしばまれていくのを傍観することは許されない。
自己満足と言い訳が幅を利かせている状況は容認できない」(UNDP報告)
 
【できることからはじめよう】
    • 今、将来を考えた行動をとることが必要
    • 先送りすることは、選択肢をもっと減らすことにつながる
    • 先進国の私たちが行動する必要がある
    • 報告書に書かれているこのメッセージは、国連から各国政府へ向けられた言葉ですが、同時に私たちへ向けられたメッセージでもあります。

    新年にあたり、自分自身の生活をもう一度振り返ってみましょう。