地球は今

【地球は今...】なぜ日本は先進国で最も自給率が低いのか?

日本の食料自給率は、先進国の中で最低クラスです。しかし、約50年前まではほぼ自給ができていました。
日本の現状を知り、どのような経過でこの事態を招いたのかを探り、日本の将来についてみていきましょう。



●日本は世界で第何位の自給率?

1960年代から高度経済成長に合わせて、食料の自給率が徐々に低下しました。
 ・現在の日本の穀物自給率は、175カ国中 124番目です。
 ・先進国では、29ヶ国中 26番目です(日本より低い国は、ポルトガル、オランダ、アイスランド)。 

 現在の日本の穀物の自給率は28%です。では、残りの72%はどこの国から来ているのでしょうか。
農水省、財務省のデータ(2005年)を基に計算すると、アメリカ57%、オーストラリア7%、カナダ4%、中国2%などとなっています。
日本は、主食(米、小麦など)をアメリカなどに依存する国、悪く言えば養われている国になっているのです。



●戦後、なぜ自給率が下がってしまったのでしょう


・第2次世界大戦中、アメリカは工業製品による好景気とともに、小麦、とうもろこしなどの農業生産物も連合国へ提供するために増産しました。
終戦直後はアメリカから欧州への輸出が続きましたが、欧州の農業が復興したため、穀物がだぶつきました。
・1954年、アメリカで「余剰穀物を途上国などが低金利、長期返済で購入できる」農業貿易促進援助法が成立。
日本は戦後の食糧不足からアメリカから4億ドルの食糧援助を受けました。
・1954年、日本で学校給食法が成立し、パンと脱脂粉乳による学校給食がアメリカをスポンサーとして開始されました。
 ⇒子どもたちが、パン食になじむことで日本は小麦の輸入国(アメリカにとって最大の買い手)になり、日本の裏作(冬場の小麦や大豆生産)が完全に崩壊しました。
・1960年、農林水産物121品目が自由化されました。
・1961年、農業基本法を制定。農業から工業中心へという政策方針が出されました。
・1969年、食糧管理法が改正され、減反政策が始まりました。
・1970年、改正農地法を制定、農地が工業団地へ変わりました。
    穀物自給率   83%(60年) ⇒ 48%(70年)
    カロリー自給率 89%(60年) ⇒ 75%(70年)
⇒1954年のアメリカからの援助は4億ドル、日本がその後20年間で購入した穀物は175億ドル以上。
アメリカは日本の穀物の市場開発に成功し、日本の自給率は最低クラスになりました。



●私たちの食生活が拍車をかける・電気冷蔵庫の高性能化、大型化が、食生活に大幅な変化をもたらしました。
冷凍食品の増大は、国内における消費サイクルから、輸入中心の消費サイクルに変わりました。
・外食産業やファーストフード店の増加も大きな影響を及ぼしています。1970~71年にファーストフードの第一号店がオープン。
今では、大手(マクドナルド、モスバーガー、ロッテリア、ケンタッキーフライドチキン)の店舗だけでも、日本全国で約7,000店もあり、私たちの生活の一部になっています。
 ※規格化された食品を大量に消費するようになり、安価に生産される海外からの輸入品への依存傾向がより高まったのです。


●今後、日本はどうなるのでしょう

昨年末からの小麦(パン、麺類など)の値上げは、主にオーストラリアの干ばつによる小麦の生産の減少によるものです。
今後、地球温暖化の進行に伴って、さらに穀物や農産物の生産が減少することが国連IPCC報告などで予測されています。
現在の輸入依存のままでは、私たちの生活そのものが成り立たなくなる可能性があります。
早急に、食料が自給できる体制への変革が求められています。


【できることからはじめましょう】
「食の安全」を確かなものにするには、自給率100%が基本です

 ●産地直送の農産物を購入する
 ●輸入食品をなるべく買わない
 ●食事は外食より家庭でする
 ●お米中心の昔からの食生活に切り替える
 ●ファーストフード、冷凍食品などの利用をできるだけ控える
 ●家庭菜園を始める
 ●援農(農家の繁忙期にお手伝い)をする