巻頭言

【巻頭言】ガソリンは高い?

今年は環境元年、京都議定書のスタートの年です。
         目標     現状    2012年までの5年間に
  ドイツ    -25%   -18%     あと 7%
  イギリス  -23%   -15%     あと 8%
  アメリカ  -  7%   +16%       あと23%
  日本     -  6%      +  7%       あと13%
 (これは、よく知っていただきたいので今回も掲載します)

★日本のガソリンは高い?
4月から1リットル150円から130円くらいに下がりましたが、
日本のガソリンの値段は高いのでしょうか。
実は、環境先進国など多くの国は200円以上。
日本は主要国28か国中24位で、かなり安い。
アメリカはいまでも100円以下で、先進国で最も安い。
なぜでしょう。

★ヨーロッパと、日本、アメリカの違い
日本はヨーロッパと同じようにすでに公共交通が整っていましたが、
アメリカ型の自動車社会をめざしました。
経済優先。その方がGNPが大きくなるからです。
日本は、毎年5~6兆円を投入して自動車道路を延長してきました。
その結果、JRのローカル線や私鉄が赤字になって廃止され、
バス路線が赤字で廃止され、マイカーを持たざるを得ない状況を作り、
自動車社会に突き進んでいきました。
その結果、面積あたり世界最大の自動車道路を実現、
面積あたり世界最大の自動車保有国になり、
土建業と自動車産業は驚異的に発展し、
GNP世界2位の経済大国を実現しました。
国全体が大量消費、経済優先に染まってしまいました。
しかしこの方向は、資源、エネルギー、事故、地球環境の面では間違っていました。

★自動車道路、もっとほしい?
近年、地球環境の面からも自動車社会が不利であることが明らかとなり、
「自動車道路はこれ以上要らないのではないか」という議論が出始め、
小泉政府は「もういらない」と判断して一般財源にすることを決めました。
首相の交代後、国土交通省から「道路特定財源復活の道路整備計画」の動きが出たため、
野党が反発しました。

★環境先進国の動向
エネルギー効率は、鉄道1に対して、バス3、航空6、自動車9(国土交通省)と、
自動車がもっともよくありません。エネルギー効率、二酸化炭素削減の観点からも、
自動車を減らし、公共交通や自転車にシフトすることが望ましいのです。
ドイツなど環境先進国では、
1.ガソリンの値段を高くすることで、自動車を抑制する
2.町の中心地での自動車乗り入れ禁止 (路面電車の延長)
3.路面電車の料金を格安、または無料に
4.パーク&ライド、カーシェアリング (自動車の共用)
5.自転車専用道路、駐輪場の強化 (自転車の奨励)
環境税で、風力発電の電力を高く買い上げるなど環境政策を強力に推進しています。

★石油は高い?
この4月、原油は1バレル(159リットル)112ドルをつけました。(1970年は2ドル)
しかし、それでも石油の原価(税金別)はリットル70円でペットボトル飲料より安いのです。
石油は、将来を見据えたコストが必要です。石油に限らず自然資源は、
人間が人工的に作れる代替品よりも高くしなければなりません。
資源コストが現状のままなら、社会は間違ったまま進んでしまうでしょう。
石油や木材、鉱物など自然の資源は、現状の10倍くらいのコストにしなければ、
大量消費の社会は改められないと思います。

★知っておいください

・人間は呼吸によって、二酸化炭素を1時間に30g出します

・電力は(発電などで)1kWで二酸化炭素を555g出します(人間の18倍)

・エアコン、ドライヤー、乾燥機、電子レンジなどは、1kW(人間の18倍)

・エレベータ、エスカレータは、10kW(人間の180倍)
⇒ できれば階段を使いましょう!できれば節電しましょう!

・ガソリン1リットルは、二酸化炭素2.31kgを出します

・燃費10kmの自動車は、平均すると1時間にガソリン6リットルを消費し、二酸化炭素を13kgを出します(人間の430倍)
⇒ できれば公共交通や自転車を使いましょう!歩きましょう!