【地球は今...】値上げラッシュの原因は?
昨年の秋以降、続々と食料品の値上げが発表され、私たちの暮らしを直撃しています。今まさに値上げラッシュです。
その主な原因は「原油価格の高騰」「小麦価格の上昇」の2点と言われています。
値上げのほんとうの原因は何なのか? 日本の状況は? 世界の動きは?
そして、私たちにできることは何かを考えてみましょう。 (事務局・渡辺裕文)
●値段が上がった食品、日用品の現状
自給率が極端に低い日本では、輸入される原材料の価格上昇が即、商品の値上げにつながります。
私たちの便利、快適を求めた消費サイクルが、価格を自国でコントロールできない状況を作ってしまったからです。
根本的な解決に向け、今、対策が急がれています。
・原油の値上げ
中国やインドなど発展途上国での原油消費の増加、その消費増加などを見越した投機マネーによる原油先物取引価格の上昇で、この4年間で4倍になりました。
⇒ ガソリン、ティッシュ、マグロ(漁船の燃料の上昇)などの値上げ
・穀物の不足
地球温暖化が原因とされる異常気象で世界の穀物在庫が減少しています。
特に、オーストラリアの2年連続の干ばつは穀物不足に大きな影響を及ぼしました。
また、欧米を中心に、地球温暖化対策としてのバイオ燃料の使用量が増加したことで、食料となる穀物の生産量の減少をまねいています。
「2017年までにエタノールなどの再生可能燃料を増やし、ガソリン消費量を2割削減する」(2007年のブッシュ大統領の一般教書演説)
⇒ 小麦やトウモロコシを食料、飼料からバイオ燃料用へ
アメリカ : 大豆をトウモロコシ(バイオ燃料用)に転作
ブラジル : オレンジをサトウキビ(バイオ燃料用)に転作
⇒ 食用穀物、飼料用穀物が不足し高騰
⇒ 小麦、食用油、ビール、ジュース、牛乳、乳製品などの値上げへ
先進国の人々のより豊かさを求め続ける生活や、急速に先進国に追いつこうとして経済拡大を推し進める途上国の活動が、地球の環境破壊を進め、バランスを崩し、さまざまなモノの値上げにつながっていると言えます。
●世界では?
「過去3年間で食糧価格が2倍になり、貧しい国々に住む約1億人が
さらなる貧困に追いやられる可能性がある」(世界銀行ゼーリック総督)
・シエラレオネではコメ価格が300%上昇
コートジボワール、セネガル、カメルーンでも約50%上昇
・食糧暴動がアフリカで続発
(チュニジア、エジプト、カメルーン、コートジボワール、モーリタニアなど)
「暴動が周辺諸国へ拡大する可能性も」 (国際農業開発基金副総裁)
・国連世界食糧計画の援助用食料の調達にも影響
値上げラッシュのこの時期に、一時的にガソリンが安くなっていることは喜ぶべきことでしょうか。
主要国のガソリン価格(1リットル当たり)と税負担額(消費税込み)を比較すると、欧州の環境先進国では二酸化炭素(CO2)の排出量を抑えるため、税率が高く、日本やアメリカは低いのです。
イギリスは、2010年4月からガソリン税、自動車税を地球温暖化対策として増税することを決定しています。
省エネ自動車の普及促進のためCO2排出量に応じて、排気量の多い車種ほど取得時の税金が高くなります。
日本のガソリン税は、道路を建設維持するための特定財源で、根本的に考え方が違っています。
日本も環境税を導入するなど、環境に配慮した適切なガソリン価格を支持する意識が、私たちひとり一人に求められています。
【できることからはじめましょう】
日常生活の中で、目先の値上げや値下げだけに一喜一憂していませんか。
その視野を少し広げることで、まったく別の生活や世界観が見えてきます。
今、グリーンコンシューマの真価が問われる時代がやってきました。
・必要なものかどうかを暮らしのすべての場面で考え、消費の基準を見直しましょう
・商品の生産過程を知り、購入する商品の詳しい知識を持ちましょう
・自動車の利用を控えよう(できるだけ徒歩、自転車、公共交通)
・日本の自給率を上げるための、賢い購入をする。そして家庭菜園や援農をしよう