巻頭言

【巻頭言】銀河物語(生命の誕生)

宇宙や地球の歴史、生命の誕生と進化は、
「自分とは何か、どこから来たのか」という根源的な問いへの重要なメッセージです。
連載ではありませんが、人間の原点を知るために、時々このシリーズを書こうと思います。

宇宙は、星間物質(星のかけら、スターダスト)に満たされています。
それは遠い過去の無数の太陽の爆発によって作られたものです。
現在の太陽も、あと数十億年で寿命が尽きて星間物質に還るでしょう。
宇宙は、無数の太陽の誕生と死(爆発)の繰り返しなのです。

★太陽の誕生(60億年前)
銀河宇宙の一部で変化(密度の揺らぎ)が起こり、星間物質が集まり、引力を増し、
大きくなっていきました。最大のものは太陽になり、大きなものは惑星になり太陽の周りを回り始めました。
小さなものは衛星になり惑星の周りを回り始めました。

★地球の誕生(46億年前)
地球の表面は、無数の隕石の衝突によって、灼熱のマグマの海(マグマオーシャン)でした。
原始大気は水蒸気、二酸化炭素、窒素などで気圧は50気圧以上、温室効果によって非常に高温でした。隕石の衝突が収まると、気温が下がりはじめ、大気中の水蒸気が豪雨として降り続きました。
海ができたのは地球誕生から5億年ごろでした。

★生命の誕生(38億年前)
太古の海は、大気中の二酸化炭素、メタン、アンモニア、硫化水素、亜硫酸ガス、
塩素、高濃度のミネラルが溶けていました。
海底ではマグマの噴出などの長時間の化学反応によって、アミノ酸、核酸、
たんぱく質が作られていきました。
その中から、自己複製の能力を持つたんぱく質(ウイルス、バクテリア、
細菌などの単細胞生命)が現れました。
ウイルスは細胞を持たず、他の生物の細胞を利用して自己増殖を行いますが、
生物と非生物の性質を持ち、いまも生物か非生物か確定していません。
バクテリアは細胞を持ち、自己の能力で自己増殖を行います。
細菌はそれらを含めた広い定義であり、地球のもっとも古い原始生物です。

★二酸化炭素を利用する生物の誕生(30億年前)
大気中のさまざまなガス(二酸化炭素、メタン、アンモニアなど)が海中に溶けることで、
温室効果が減少して、気温が下がり始めます。同時に、大気の濃度が減少して空が晴れ、
光が海中にも届くようになりました。
海中で、光合成で二酸化炭素を吸収して酸素を放出するシアノバクテリアが出現。
炭素はカルシウムと結合して石灰として海底に沈殿しました。
世界中の膨大な石灰層はこうして作られました。
二酸化炭素が減ることで、さらに温室効果が下がります。
放出された酸素は、海中の鉄イオンと結合して鉄鋼床を作りました。
現在、人類が採掘しているのは、こうして作られた鉄鉱床です。
海中の鉄イオンが無くなると、酸素濃度が上昇し、大気にも酸素が放出されました。
酸素は酸化作用で生物を分解する(殺す)危険な物質ですから、
生物は身を守るために、細胞膜を発達させ、遺伝子を核膜で保護しました(真核生物)。

★酸素を利用する生物が出現(20億年前)
二酸化炭素を利用して生きる生命とは別に、海中の酸素を利用して生きる生命が出現しました。
酸素をエネルギー源とすることでエネルギー効率が飛躍的にアップ(20倍)しました。
その一つがミトコンドリアと呼ばれる生命体です。
多くの真核生物は、ミトコンドリアを細胞内に取り込むことで、酸素を利用することができるようになり、
多くの酸素呼吸型の生物が誕生しました。

★多細胞生命が出現(10億年前)
単細胞生命(真核生物)は、自分のDNAを残すために、互いに相手を細胞内に取り込むことで、
相手の強みを取り込み、多様な能力を身に着けていきました。
そして、ついに単細胞から多細胞へ大飛躍を遂げました。
体内にさまざまな器官を持ち、さまざまな機能を持つことが可能になりました。
生存のために、さまざまなチャレンジが始まりました。

★生物は爆発的に増加(古生代カンブリア紀 5億年前)
地球の歴史で、生物が爆発的に進化し、分化し、増加した時代。
多くの試行錯誤が行われ、不思議な生物がたくさん現れました(バージェス動物群)。
植物(海草)が出現。クラゲや三葉虫、アンモナイト、魚類が現れました。
海の中は、さまざまな生物が往来し、まさに生物の宝庫の状態になりました。
これは、オゾン層が作られ、生物が上陸する1億年前でした。

※この話に興味を持った方は、『選択可能な未来』、『生きる意味』をお読みください。