巻頭言

【巻頭言】あなたなら

どうすれば、伝わるか、伝えられるだろうか。
以下の4つの質問(例)について、あなたならどう答えるのか考えてみましょう。
それぞれ、答えは【1】と【2】、どちらがいいと思いますか。

★事実を知ってショックを受け、いま混乱しています。
でも、急にすべてやめることはできません。
原始生活に戻るのもいやです。
事実であっても信じたくありません。
どうすればいいですか。

【1】
現実から目をそむけるわけにはいきません。
日本では環境などにあまりに無関心ですが、現実は非常に厳しいのです。
しっかり現実を学ぶこと。

【2】
あなたの気持ち、よくわかります。
私も初めて知ったとき、ショックを受け、混乱しました。
ショックが収まってから、「本当はどうなんだろう」と自分で調べ始めました。
自分で調べていくことで、ショックも受けましたが、事実が確認でき、だんだんと納得できました。
 

★江戸時代や昭和初期にもどらないと、いけないのですか。
私は、江戸時代が理想には思えません。魅力も感じません。

【1】
食料も資源も、やがて輸入できなくなるでしょうから、
早く自給自足を実現しなければなりません。
自給自足社会という意味では、江戸時代や昭和初期に戻る必要があります。
魅力的かどうかという問題ではありません。

【2】
私も以前、江戸時代や昭和初期というと、封建的、不平等、貧しい、
というイメージでしたが、最近は、社会的に見直されるようになったようですね。
例えば『三丁目の夕日』という映画、観られましたか。
物質的には豊かではありませんが、精神的には豊かさを感じました。
江戸時代については、石川英輔さんの本を読むと、環境やリサイクルについて
すばらしい知恵が書かれています。
自給自足の知恵はすばらしいと思います。


★私は旅行が好きです。
車でも飛行機でも、旅行するとCO2が出ますよね。
旅行してはいけないのですか。

【1】
自動車に乗ると徒歩(呼吸)の500倍もの二酸化炭素が出ます。
公共交通にすれば、二酸化炭素は10分の1にできます。
旅行がいけないといっているのではありませんが、
できるだけ環境にいい方法に変えるべきだと思います。

【2】
そうですね。難しい問題ですね。
私も初めて知ったとき、ショックを受け、悩みましたね。
まずは、無理をしないで、できることからやっていけばいいと思います。
私の場合、アイドリングストップしたり、公共交通にシフトしたり、
自転車や徒歩にするようにしました。
運転免許を捨て、自動車をやめるまでに2年くらいかかりました。


★仕事を辞めて自給自足(農業)をし、休みの日は家で過ごし、
電気を使わず早く寝ないといけないのですか。私は、家族に贅沢をさせたいです。
永続可能な社会は、そういうことはすべて否定されるのですか。

【1】
それが理想だと思います。
贅沢をさせたいということですが、贅沢って何ですか。
贅沢なんて、現代社会の悪い習慣(洗脳)ですから改めていきましょう。

【2】
自給自足社会から50年かけて、こういう社会を作ったのですから、
少しずつできることから戻していけばいいのではないでしょうか。
贅沢については、江戸時代にも昭和初期にも、その時代の贅沢はありました。
私の子供のころは、外食はめったにない贅沢でした。

【1】は、相手の気持ちを考えないで、自分の考えをストレートに述べています。
【2】は、相手の気持ちを受け止めて、自分の気持ちや体験を述べています。

地球環境に限らず、自分の意見を述べる際、相手の気持ちを受け止めて、
相手が理解しやすいような配慮が大切ではないでしょうか。

※このような「どうすれば、伝えられるか、伝わるか」について詳しく記した著書、
『新版 オーケストラ指揮法』 『非対立の生き方』 『虹の天使』をお読みください。