【地球は今...】地球の生態系は今...
2005年に国連は「ミレニアム生態系アセスメント総合報告書」を公表しました。
この報告書では、生態系から人類が得る恵みとその変化によって人類への影響を報告しています。
この報告書をベースに地球の生態系の今と今後についてまとめてみましょう。 (事務局・渡辺裕文)
●地球の生態系は今
・地球上の生物種は、過去数百年にわたり、地球の生物種の平均的絶滅速度の1000倍の速さで絶滅しており、哺乳類、鳥類、両生類の10~30%が絶滅の危機にあります。
・世界のさんご礁の2割が消失、2割が劣化し、マングローブ林の35%が消失しました。
●自然(生態系)から受ける恩恵はどんどん減少
・漁獲資源の4分の1が乱獲されています。
たとえば、ニューファンドランド島では、基幹産業であったタラ漁が乱獲により崩壊しました。
⇒ 数万人が失業し、被害総額は20億ドルと言われています。
・世界で利用している淡水のうち、25%は人工的に輸送したり、地下水を過剰にくみ上げるなど永続可能ではない方法で利用され、長期的に供給可能な限界を超えています。
・マングローブ林が減少したため高潮や津波などの被害が激しくなったり、揚子江など上流域での森林伐採により下流域での洪水が増加するなど、自然破壊による自然災害に対する抵抗力が弱くなっています。
・そのほかの自然の恩恵も減少しています。
⇒ 廃棄物の処理と無害化、水の浄化、大気質の調節、気候調節、土壌浸食の抑制など
●特に貧困地域でその影響が大きく現れており、不平等が拡大
・農地の拡大と生産性の向上で食糧生産は人口増加よりも速いペースで増加しています。
⇒ 1人あたりの食糧生産は過去40年で増加
しかし、栄養不足の人は90年代よりも増加し、8億5000万人以上にのぼります。
・ダム開発などで人間が利用できる水は増加しているにもかかわらず、
世界全体で10~20億人は、水不足による不健康状態や食糧不足などで苦しんでいます。
・漁獲量の低下は、途上国でのタンパク源の減少を引き起こしています。
⇒ 1人あたりの魚の消費量は途上国を中心に減少
・砂漠化の拡大は、乾燥地に住む貧しい人々数百万人の生活に影響しています。
●生態系の変化を引き起こした原因は?
1.人口増加
1960年から2000年の間に人口は倍増(30億⇒60億)し、食糧の需要増に応じ、森林などを農地化し、地球の陸地の4分の1が農地になりました。
⇒ 食糧の生産量2.5倍、水の使用量2倍、木材の伐採量3倍
2.経済の発展
1950年から2000年の間に世界の経済活動は7倍(5兆ドル⇒37兆ドル)になり、一人ひとりの生活様式も変化しました。
⇒ 米や芋中心の食生活から、肉、野菜、果実など、より土地や水などが必要な食生活へ
⇒ 工業製品などの消費の増加は、森林や畑、自然海岸を工業地帯へ
結果として、自然、生態系を破壊しました。
●生態系を破壊すると、その回復やこれまで受け
ていた恩恵をえるために莫大な費用が必要
私たちの経済システムには、自然の恩恵は全く含まれていません。
もし森林が二酸化炭素を吸収したり、ミツバチが受粉をし、花が果実になったりするなど、自然が私たちに与えてくれている恩恵をお金に換算すると年間最大約6000兆円(54兆ドル)と言われています。
一年間の、世界中全ての経済活動の合計は約4000兆円(37兆ドル)です。自然は、世界経済以上の恩恵を見返りなしに与えてくれているのです。
私たちが自然にしたことは、少しの時間差をおいて確実に私たちに跳ね返ってきます。
私たちはエコスフィアの中に生きているエビとまったく同じなのです。
死んでしまった川に鮭を呼び戻すことができますか?
絶滅してしまった動物たちを生き返られることができますか?
砂漠になってしまった森を元に戻すことができますか?
それができないのならせめてこれ以上、地球を壊すのを止めてください。
(グローバルフォーラム閉会の言葉 セヴァーン鈴木)
我々は知っている。全ての生命は、一つの生命の織物であり、
これを編んだのは我々ではなく、我々は一本の織糸に過ぎない。
生命の織物に対して行ったことは、自分自身に降りかかってくることを。
(1854年 シアトル酋長がアメリカ大統領にあてた手紙)
今一度、私たちが生きている地球のことを考えて、できることから始めましょう。
【私たちにできること】
・野生動物の皮や毛皮のコート、剥製などを買わないようにしよう
・野生生物はペットとして飼わないようにしよう
・環境破壊のリゾート(ゴルフ、スキーなど)を利用しないようにしよう
・無農薬のものを選んで購入したり、食べましょう