地球は今

【地球は今...】エネルギー枯渇時代を迎えて(その1)

昨年来、ガソリンが急激に値上がりしています。この背景には、国際的な投機と同時にエネルギー資源の枯渇という問題があります。
私たちが普段当たり前に使っているエネルギー資源が、後どのくらい残されているのか、解決方法はないのか、一緒に考えてみましょう。 (『地球村』事務局)



●エネルギー資源の残余は

私たちがエネルギーとして使っている石油、石炭、天然ガス、ウランの可採年数(何年間採掘できるのか)は右の表のようになります。
もし、石油がなくなれば、代わりに天然ガス、石炭などがより多く使われるようになるため、全ての資源を消費しつくすのは、単純計算で2090年頃(BP・ブリティッシュペトロリアム2006年資料)になり、残り100年を切っています。(右下グラフ)



●全てを掘りつくすことができるのか?
最後の石油の一滴、最後の石炭ひとかけらを採掘するには、最初の石油や石炭よりもだんだん採りにくくなっていきます。
このため、約半分の採掘を過ぎるとだんだん採掘量が減っていきます。
イラン、イラク、インドネシアなどのOPEC産油国のほか、アメリカ、ロシア、オーストラリアなど22の国々では、すでに石油の生産量のピークを過ぎています。
今後、さらに生産のピークを過ぎる国々が加速度的に増加し、多くの研究者の見解では、世界全体での石油の生産のピークは遅くとも2010~2015年と予測されています。


●さらに資源の枯渇も
石油、石炭だけでなく、さまざまな金属資源も今のままでは後十数年で枯渇するものもあります。
枯渇が近づくとさらに品位の悪い(含有率の低い)鉱石から採掘、精製するため、より大量のエネルギーが必要になります。
資源の枯渇によりエネルギーの枯渇がさらに早まる可能性があります。



●もう一つの問題、地球温暖化

国連IPCC報告によると、地球の平均気温は温暖化のため、21世紀末に最大6.4℃上昇すると予測されています。
また、干ばつや洪水、生物種の絶滅、海水面の上昇による国土の消失や台風・高潮の被害、熱射病などの発生率、感染症、突然の冷害や局所的な異常降雨、異常乾燥などの増加が予測されています。
この原因は、化石燃料(石油・石炭・天然ガス)の大量消費です。
地球温暖化を進行させないためには、化石燃料の消費を60~80%削減することが必要です。化石燃料は、最後まで使い尽くすことはできません。


●メタンハイドレードの問題

メタンハイドレードは、メタンガスが低温高圧の深海や寒帯地域の永久凍土の地下などで固化した物体です。
天然ガスの2~10倍という資源量があり「新しい燃料資源」として注目されていますが、燃やせば削減の必要がある二酸化炭素を発生します。
さらに、海水温が上昇することで海底のメタンハイドレードが融け、二酸化炭素の21倍の温室効果を持っているメタンが大量に発生し、さらに地球温暖化が進む危険性もあります。
メタンハイドレードも、決して夢の燃料資源ではないのです。



●もしエネルギーがなくなれば ⇒ 石油の輸入が止まるだけでも大パニック 
・電気、自動車、物資や食糧の輸送など、経済、生活のすべてに大打撃を与えます。
・日本の農業は化学肥料、農薬、機械化に頼っているので、石油の削減は致命的です。

日本はエネルギーを持たない国です。私たち自身のエネルギー消費を下げることを心がけることが解決への第一歩です。


 

【できることからはじめましょう】

・省エネ、節電、節ガスを心がけよう
・一家団らん、早寝早起きを心がけよう
・自動車の利用を減らし、贅沢な暮らしをしないように心がけよう

≪参考・引用文献≫
「エネルギー危機からの脱出」 枝廣淳子 著  ソフトバンク出版
・「資源クライシス」 加藤尚武 著  丸善
「地球温暖化」 田中優 著  扶桑社新書