巻頭言

【巻頭言】世界の金融危機、現状と今後

世界規模の金融危機が起こっていますので、現状と今後の見通しについて書きます。
『地球村通信』の原稿は、お手元に届く10日ほど前に書きますが、
日々、状況が変わりますので、今はどうなっているでしょう。

★サブプライムローン問題
一言で言えば、アメリカの低所得者層への住宅ローンの「バブル崩壊」です。
「無担保、無保証で家が買える。
2年後にさらに金利が上がるが、住宅価格がそれ以上に上がるから」と
低所得者に大量に住宅販売しましたが、予想が大きくはずれ、
住宅価格が下落、支払不能になり、大量の破産、差し押さえが始まりました。
住宅ローンだけなら50兆円程度の損失で収まるはずですが、
住宅ローンを組み込んだ投資信託、ファンドなど多くの金融商品(デリバティブ)が
下落したため、被害額は10倍にも、1000倍にも膨らんだわけです。
今後、被害は、どこまで拡大するか予想できません。

★1ヶ月間で、世界の1400兆円が消滅
大手投資会社の経営破綻から始まった世界同時株安で、
世界では1ヶ月間で1400兆円が消滅。日本も100~200兆円が消滅。
アメリカ、日本なども公的資金を投入し始めましたが、膨れ上がった金融投資が
バブル崩壊を起こすのは当然で、そこに公的資金(私たちの税金)を注入することに、
多くの国民の納得性があるでしょうか。

★金融投資、投機はギャンブル
マネーゲームはギャンブルであり、実体経済とは別の世界です。
現在、マネーゲームで動いているお金は、
全世界のGDP50兆ドル(5000兆円)よりもはるかに大きい。
なぜ、そんなことが可能かといえば、金融商品は自分の元金(資本)の10倍でも
100倍でも動かすことができるリバレッジ(てこ)という仕組みがあり、
勝てば億万長者、負ければ巨額の負債になるのです。
いま、そのリバレッジによる巨額の負債に、公的資金(私たちの税金)が
使われようとしているのです。

★預金、貯金、株、保険
あなたは、マネーゲームをやっていますか。
多くの人は、「いいえ」と答えるでしょうが、実はそうではないのです。
マネーゲームは投資信託だけだと思っているかもしれませんが、銀行も、
郵便局も、生命保険会社も、預かったお金でマネーゲームに参加していますから、
そこにお金を預けている人は、マネーゲームに参加していることになるのです。
ギャンブルに負けると元手がなくなるわけですから、銀行がギャンブルに負けると、
預けたお金も無くなっても仕方ないのです。そのことを知らない人が多いのではないでしょうか。

現在、銀行が破産すると「1000万円保証」になっていますが、
それはラッキーなことなのです。
しかし、預金が1億円でも10億円でも保証は1000万円ですから、
大金を預けている人には戦々恐々でしょうね。
心配なら、マネーゲームをしている金融機関への預金をやめることです。

★今後、何が起こるか
おそらく、公的資金(税金)の投入でも、バブル崩壊は止まらないでしょう。
バブル崩壊は、銀行などの金融機関の倒産を起こし、それが社会不安を起こし、
銀行から預貯金が引き出されたり、保険契約の解除が始まるでしょう。
それが広がると1929年の世界恐慌のような事態が起こりかねません。
第一次世界大戦後のアメリカは、投資ブームに沸きましたが、バブルが限界に達し、1
0月24日に株価の暴落が始まりました。
1週間でアメリカの国家予算の10倍が失われました。
倒産、失業、社会不安が高まり、世界大戦へと突入しました。
ある意味、戦後の長期の経済成長、長期のバブルが崩壊し、実体経済の調整が
始まったと考えられます。
先進国(G8)は、協調介入(税金の投入)によって、沈静化をしようとしていますが、
これはかえって問題解決を遅らせ、傷を深くする可能性があります。
間違った金融バブルは、徐々に調整しなければなりません。

★いま、何が必要か
・国、政府は、公的資金(税金)で、無理な景気刺激をしないこと
・国、政府、企業は、マネーゲームを徐々にクールダウンすること
・企業は、地道な経営に移行(借金、自転車操業をやめ、自己資本で仕事する)
・個人は、消費を抑え、地道な生活に戻す
・大量消費社会、経済拡大から、循環社会、環境調和社会、自給自足社会へ