【地球は今...】世界の「水」商売は今
私たちが生きていくうえで不可欠な「水」。
世界では、多くの人が水不足による悲惨な生活を送り、国と国との間で水にかかわる争いが起きています。
世界の「水環境」の現状を一緒に見てみましょう。(『地球村』事務局)
●豊かな水で生活している人ばかりではない
・最貧国をはじめとして、世界の24億人が水不足(高い水ストレス)に苦しみ、2025年には世界の半数以上(40~50億人)が水不足になると予測されています。
・汚染された水が原因と考えられる感染症などにより、毎年2500万人が死亡。特に途上国の病気の8割は水が関係しています。
・先進国ほど、1人当たりの水の使用量が多く、北米はアフリカの10倍。日本は中央アフリカの、100倍の水を使用しています。
同じ国の中でも水使用に不公平があります。
例えば、
【インドネシア】 干ばつの時、住民の井戸が枯れましたが、観光用のゴルフコースには毎日1000トンの水が使われました。
【南アフリカ】 60万人の白人農家が水の6割を灌漑用に使用していますが、一方で1500万人の黒人は水をたやすく手に入れることは難しく、さらに水道料金を払えない人に水の供給を止めたためにコレラが大発生しています。
【アメリカ】 貧困層など5300万人(人口の1/5)は、不衛生であったり、汚染物質の混じった水を生活に使っています。
●途上国ではこんな負担も
・生きていくために必要な水を手に入れる費用(収入に対する割合)が途上国ほど大きくなっています。
・水を貯めるためのダム建設で立ち退きをした人は過去60年間で6000~8000万人で、中国とインドが多く、大半が強制移住により無理やり生活の場を奪われました。
●世界で起きている水紛争
・世界では水をめぐる小規模な紛争がすでに起きています。
・イスラエル、ヨルダン、シリアの1950年代からの紛争はヨルダン川や地下水源などの水資源の支配をめぐる争いでした。
・1997年、シンガポールに政策を非難された上流側のマレーシアが、下流への水流量を制限すると圧力をかけました。
他に、ボツワナとナミビア(オカバンゴ川)、エジプトとエチオピア(ナイル川)、バングラデシュとインド(ガンジス川)など水源をめぐる小規模な紛争がすでに起きています。
※世界人口の40%は2国以上が共有している214の河川の水で生活しています。
⇒水資源の枯渇に伴い、これらの国の間で紛争の種が潜在的に存在している
●水のビジネス(「水」商売)が巨大化し、多大な影響力
水供給を民営化(企業が運営)することで、貧しい人が水を得にくくなります。
・ボリビア政府は、2000年にコチャバンバ地域で水道事業を民営化しました。
⇒水の費用が20ドル以上に(100ドル以下の生活が大多数の地域)
⇒水を得られない人を中心にデモ、ストライキなどの抗議行動が発生
※現在、ボリビア政府はこの地域の水道事業を公営に戻しています。
・ビジネスチャンスと捕らえて、世界規模で水事業を行う巨大企業が生まれました。
スエズ社は、世界1億2500万人に水を供給しています。
※1つの会社が日本の総人口と同じ水道を管理し、利益を上げています
・世界でのボトル水の販売量は1540億リットル(2兆円以上)になり、ペットボトルに270万トンのプラスチック(原油換算で2.5億リットル)を使用しています。
⇒容器だけで、日本にある全自動車のガソリン消費 の約半分のエネルギーを消費 (経産省、WWJ、日本容器包装リサイクル協会資料より)
ボトル水の大部分は先進国で消費され、生きていくための水が得られない人のためではありません。
日本もペットボトルの水を大量に消費し、日本のボトル水の消費量は年間25億リットル。
そのうち約6億リットル(23%)の水を海外から輸入しています。輸送エネルギーは100倍以上かかるといわれています。
サンフランシスコでは、官庁の職員のボトル飲料水の購入が法律で禁止されました。自治体職員が自ら率先して行動をしています。
【できることからはじめましょう】
・安全な水のない途上国で井戸を掘る支援活動に協力しよう
・ペットボトルの水を買わずに、マイ水筒や浄水器の利用を心がけよう