【巻頭言】公共事業 土建政治
★巨大な無駄、日本の公共事業
周りにこんなこと見ませんか。世の中にこんなことありませんか。
1.同じ場所を「掘ったり埋めたり、掘ったり埋めたり」の道路工事
2.水の減っている川、水の流れない川の護岸工事
3.意味不明の巨大埋め立て事業(諫早湾の干拓など)
4.知事が「いらない」と意見表明した巨大なダム計画
5.小さな港の巨大な港湾整備
6.小さな町に巨大な公共の建物
7.必要性不明、意味不明の自動車道路
などなど、日本では、「赤字財政」の中で、無駄な公共事業がたくさんあります。
それが数年後に、廃棄されたり、100分の1の値段で売却されたり。
★公共事業費 VS 社会保障費
この比率は、他の先進国では1:3ですが、日本は3:1と逆転しています。
これを逆転させれば、市民、国民の生活は大きく改善されるでしょうし、
消費税を上げることも必要ないでしょう。
★なぜ、改められないのか
日本の公共事業は「公共投資基本計画」(1991年)に基づいています。
当時、日米貿易不均衡(アメリカの対日赤字)が大きくなり、アメリカの強い要請で
設置された「日米構造協議」が持たれました。
アメリカ政府は、日本の対米輸出が拡大し、アメリカの対日赤字がますます膨張することを防ぐために、
日本のGNPの10%(約50兆円)を公共投資に使うことを要望。
日本政府はこれを受け入れ、「公共投資基本計画」が作られました。
1991年「10年間に公共投資に430兆円を使う」ことを決め、それが実行され、
毎年アメリカにその詳細を報告しています。アメリカは毎年、「年次要望書」という形で、
チェック、評価、要望を続けているのです。
その結果、日本は95年から07年までの13年間で、実に630兆円もの公共投資を行ないました。
年平均、約50兆円にのぼります。
これは、他のどの先進国と比べても巨額の公共投資であり、
これが現在の日本の土建政治を支えています。
★明るいニュース
昨年、熊本県知事が「川辺川ダムはいらない」と正式に表明、関西の4知事も
「淀川の大戸川ダムはいらない」と正式に表明し、これを受けて、
財務省は「知事がいらないと言っている国交省のダム計画に予算をつけるわけには
いかない」ということで予算は凍結され、国交省は見直しを迫られています。
これまで、各地で50年も前に決めた巨大公共事業が、時代が変わり、状況が変わり、
必要性がなくなっても、理由を変えて、強引に作り続けられてきましたので、
今回のダム建設中止は、実に異例で、喜ばしいことです。
いままでの「国の決定は正しい。国の決定に口を出すな。
変更はない」といった傲慢な硬直したやり方に風穴があいた感じです。
しかし、これで、実際に川辺川ダム、大戸川ダムが中止になったわけではありません。
すでに各府県の議会で自民党議員の反撃が始まっています。
住民が監視し、市民が声を上げないと、この変化を実現することはできません。
こういう問題に関心を持ち、意見を述べる人たち、グリーンコンシューマが増えることが必要なのです。
★国家予算のからくり
日本の国家予算は、他の先進国と大きく違っています。国家予算は約83兆円、
うち収入(税金など)が50兆円、毎年、赤字33兆円分の赤字国債発行。
これ自体、財政破綻です。ところが、前記の「公共投資基本計画」によって、
1年間に50兆円の公共事業費を使うことが決められ、現実に「13年間に630兆円」の
公共事業費を使ってきたのです。どう考えても、つじつまが合わない数字ですが、
実は日本の国家予算は2重帳簿になっていて、別の財源、別の会計があります。
それが特別財源(特別会計)です。
国民が意味もわからずに払っているお金(年金、保険など)なのです。
全国各地に作られている公共のレジャー施設なども、そういうお金で建てられているのです。
霞ヶ関の埋蔵金と言われるお金も特別会計に含まれていて、国民には不透明になっています。
★特別会計
特別会計とは、国または地方公共団体の官庁会計において、一般会計とは別に設けられる、
独立した経理管理が行なわれる会計のことを言います。
国が特定の事業をおこなう場合、一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に限り、
特別会計を設置するとされています(財政法第13条第2項)。
現在、国には21の特別会計があります。平成20年度予算においては、
特別会計の歳出額は約368兆円となっています。これは単純に各会計を足した総額であり、
他の会計との重複を除いた純計額は約178兆円です。