巻頭言

【巻頭言】利子について

利子について考えてみましょう。
利子って、どうして付くのでしょう。
それは、お金が使われることで利益が生まれるから、その利益の分配です。
ということは、利子以上の利益が生まれる必要があります。
私が子どものころ、日本の定期貯金の利子は6%でした。
現在は定期貯金の利子は1%以下ですが、業界の主要金利は2~3%です。
政府の政策利率(公定歩合)は現在、先進国では数%、途上国は10%です。
利子は複利計算ですから、どういうことになるか見てみてください。

★元本100万円とすると

        利子が年5%の場合    利子が年10%の場合
10年           163万円            259万円
20年           265万円            673万円
40年           704万円           4500万円
60年          1800万円          3億400万円
80年          4900万円        20億5000万円
100年      1億3000万円       137億8000万円

100年間で、100万円が1億円以上、100億円以上になってしまうのです。
このことからも現状の経済の根本問題や破局が見えてくるのではないでしょうか。
利子を払うために、金融機関や企業は、それ以上の利益を出さないといけないのです。
そのためには、何をしないといけないでしょう。

★経済を拡大するために
1. まず、「必要なもの」を作ったり、売ったりする。
2. 次は、「あれば便利、快適」というものを作ったり、売ったりする。
3. 次は、「必要がないもの、無駄なもの」を作ったり、売ったりする。
4. 次は、「無い方がいいもの、マイナスのもの」を作ったり、売ったりする。

日本の現状は、この中のどれでしょう。
すでに、無駄なダム、無駄な空港、無駄な道路、施設、リゾートなど、
作る前から無駄が指摘され、作ることで大規模な自然破壊をしたり、
昔ながらの地域経済や商店街を破壊したり、作った後は膨大な赤字を続け、
数年で閉鎖されたり、たたき売られたりしている無駄な

公共事業がたくさんあります。医療でも福祉でも教育でも無駄はいくらでもあります。
賞味期限や車検制度など、ない方がいいことは山ほどあります。

★役所は、予算が増えることで評価される
なぜそんなことが起こるか、知っておいてください。
企業は、売上(収入)を増やすことで評価されますが、
役所は予算(支出)を増やすことで評価されるからなのです。

その一例ですが、大阪府の橋下知事がテレビ会見で、
「朝、出勤する時、公用車に新聞各紙が用意してある。執務室に入ると、同じ新聞各紙が用意してある。こういう無駄を見直しなさいと指示すると、新聞だけで、年間8千万円の節約になった。これは氷山の一角で、日本全国では巨額の無駄があると思う」
と言っていました。
常識では考えられないことですが、これが現実なのです。

官僚、公務員、天下りによって日々行われている無駄は想像を絶するでしょう。
その累計が1000兆円に達し、すでに国民の財産(あなたや私の預貯金や年金)は、
総額1400兆円の大半が使われてしまったのです。
さらに毎年50兆円以上の赤字が続いていますから、このままでは、
10年以内に日本は破産が避けられないでしょう。
そうなれば輸出入が止まり、食べ物も無くなり、生活ができなくなるのです。

★問題の解決には
現状の経済の最も基本である「利子、利益」に根本的な問題があるのです。
このことで、「経済は拡大しなければならない」となり、必然的に無駄が増え、
「豊かな者はより豊かに、貧しい者はより貧しく」なるのです。
この問題は、預けたお金の「利子をゼロかマイナスにする」ことで、ほとんど解決します。
これは、固定資産などに使われている「減価償却」という考え方です。

★地域主権、地域自立、地域の独立
国が地域(国民、住民)の声を聞かずに公共事業を推進し、
その費用を地域(住民)に押し付ける現状は重大な間違いです。
国による公共事業を全面中止し、地域に任せる。
地域(住民)が作りたいものについて地域財政で作る。
その基本として、地域主権、地方税中心にする。
これが地域主権の基本構想です。道州制より高次の経済的な自立が必要です。
現状の経済には、そうした根本的な見直しが必要なのです。