【地球は今...】日本の温暖化政策の勘違い
今年の12月にデンマークのコペンハーゲンで国連温暖化防止会議(COP15)が開かれます。
2012年以降の温暖化ガスの排出量の世界的な枠組みを決定した1997年の京都会議に続く非常に重要な会議です。
大量に温暖化ガスを排出している国の一つとして、世界をリードする削減が求められている日本の動向を見てみましょう。
●日本が国際会議で提案していること
【基準年の変更】
1997年に決められた京都議定書での基準年は1990年。
この1990年の温暖化ガスの排出量と比較して、2008年~2012年までに6%の削減が義務付けられています。
2012年以降の排出削減も、欧州やアメリカはこの1990年を基準年として提案をしていますが、日本は洞爺湖サミット以降、2050年に現状(基準年が明確でない)に比べて50%削減という案を提示しています。
現状(1990年比) 2020年 2050年
日 本 9%増加(2007年) 未定(6月発表) 50%削減(現状比)
アメリカ 14%増加 1990年水準へ削減 80%削減(1990年比)
欧 州 2%削減 20~30%削減 80%削減(同上)
ドイツ 18%削減 最大40%削減 80%削減(同上)
イギリス 15%削減 26~32%削減 60%削減(同上)
(削減量データは、日本以外はUNFCCCサイトより)
【計算方法の変更】
京都議定書では、国ごとに国全体として何%を削減するという具体的な目標削減率を決めていますが、この二酸化炭素排出削減の目標の計算方法の変更を提案しています。
国全体の具体的な削減目標を設定するのではなく、業界ごとに決めた削減量を足し合わせた数字が国としての削減量とする「セクター別アプローチ」を提案。
⇒ ボトムアップ方式での無理の無い削減量の足し合わせのため、大きな削減になりません。
【途上国の参加が不可欠】
中国やインドなど途上国の排出削減を義務付けるように提案しています。
⇒ 私たちが普段見ている温暖化ガスの排出量は、各年度ごとでの排出量のため、中国やインドがかなり大きな排出量をしめているように見えます。(左図)
しかし、これをもっと長期のスケール(1900年以降)で算出しなおす(右図)とアメリカとEUだけで約60%の排出量を占めており、インド、中国を足しても1割程度にしかなりません。
人口比で考えると、より先進国の責任と行動が重要であることがわかります。
●国を越えた対策ができない日本
ヨーロッパの国々は、1970年代より環境問題は国というレベルを越えた、より大きな広がりの中で対策をとる必要があると認識し、酸性雨やオゾン層破壊に対して条約を作成し、実行してきました。
地球温暖化対策についても、国を越えたEUという枠組みの中で大きな目標を決め、国ごとに対策をおこなうトップダウン方式で取り組もうとしています。
日本は、大気中や海洋に放出した汚染物質が、太平洋に拡散するため、認識が甘く対策が遅れています。
地球温暖化についても同様に認識が甘い状態で進んできています。私たちが認識を変え、政治や社会を変えていくことが必要なのです。
【 私たちにできること 】
・官僚中心の現状の政治では、消極的な日本の提案を変えることができません。
まずは、政権交代が必要です。
・NGOが中心になって、地球温暖化対策のための厳しい法律を作ろうという「MAKE THE RULE キャンペーン」を行っており、『地球村』も参加しています。
ぜひ、HPから参加しましょう。
「MAKE THE RULE キャンペーン」 ⇒ http://www.maketherule.jp