【環境トピックス】アジアの水不足が深刻に (8月31日 ナショナルジオグラフィックニュース)
ストックホルムで開催された「World Water Week」会議で、水の供給が行き渡らない地域が慢性的な食糧不足に陥る恐れがあると発表された。2050年までに中国で14億8000万人、インドで16億6000万人に膨れ上がるとみられる人口の食生活を支えるには、灌漑(かんがい)の抜本的な見直しが必要だという。地下水の使用量が世界一のインドでは、主に灌漑を目的とした過剰な取水が原因で、毎年30センチずつ水位が下がっている。中国では、ウォーター・フットプリント(※)のうち食糧生産に使われる水量が1985年からほぼ倍増し、今後30年でさらに40~50%増える見込みだ。これは米や麺を中心とした伝統的な食事から肉の多い食事への変化によるものである。さらに温暖化により、アジアの麦と米の生産量は2050年までにそれぞれ21%減、16%減となる恐れがあると予測されている。他の発展途上国でも中国のような食生活の欧米化が進み、さらに気候変動が与える影響を考慮すると、世界的な水不足はさらに深刻化する可能性が高い。
※「ウォーター・フットプリント」
家庭で使用される水、および国内消費財の生産に使用される水の国民一人当たりの年間総量