巻頭言

【巻頭言】  「ついに政権交代」

ついに政権交代が実現しました。
①あなたは、嬉しい?        嬉しくない?
②変化を期待している?       期待していない?
③いい変化が起こる?      よくない変化が起こる?
④社会は全体として良くなる?   悪くなる?

せっかく60年以上の長期政権が交代したのですから、世の中が良くなるよう、みんなで力を合わせましょう。
過度な期待、過度な要求をして、それが実現しないからと言って、「期待を裏切られた!自民党の方がいい!」と批判しても、世の中はよくならないのです。

もし来年の参議院選挙で、民主党が敗れると、「衆議院で可決しても参議院で否決」「何も決まらない」という「ねじれ国会」が再現します。
新政権は、少なくとも一期(4年)か二期(8年)やらないと公約は実現できません。
だから来年の参議院選挙でも、民主党を中心とした与党が過半数をとることが必要です。


★温暖化防止、二酸化炭素削減

これは新政権がマニフェストに掲げた公約の一つ。
新政権は「2020年に、1990年比25%削減する」と発表しました。
国連IPCCも、各国の担当者も驚くとともに称賛しました。
そして、国内の産業界は一斉に反発、反対を表明しました。
今後大きな議論となるでしょうから、よくご理解ください。

今年のG8サミット(先進国首脳会議)で、オバマ大統領は、「先進国は2050年までに80%以上削減しなければならない。
世界全体で50%削減しなければならない」と宣言をしました。
これは、ブッシュ大統領が一貫して「協力しない」という姿勢であったことから、大転換です。
ドイツ、イギリスなどは、中期計画として「2020年までに1990年比30~40%削減が必要」と発表しているのに対して、麻生政権は、「2020年までに2005年比15%」と発表して、ヒンシュクを買いました。
なぜなら、日本は、2005年は1990年比で7%増でしたから、2005年比15%削減というのは、1990年比8%削減にしかなりません。
これは、京都議定書で日本が約束した「2012年までに6%削減」に2%上積みしただけだからです。

新政権の発表「2020年には、1990年比25%削減」は、京都議定書の約束「2012年までに、1990年比6%削減」より19%の上積みです。


これは画期的な数字ですが、これまでの政府や産業界の考え方では実現不可能です。
ということは、今回の目標がおかしいのか、これまでの考え方がおかしいのか、どっちでしょう。
まず、次のことをよく理解してください。


★経済発展を続けながら、二酸化炭素を削減できるか

世界人口の2割が一等船客、3割が二等船客、5割が三等船客。
一等船客は、二等船客の数倍、三等船客の数十倍の経済を有し、それに比例して大量のエネルギーと資源を消費しています。
そのもっとも豊かな私たちが、さらに経済拡大を続けることが可能だと思いますか。
自動車の燃費を改善しても、電気の発電効率を改善しても、インド、中国など圧倒的多数の人々が、自動車や電気を、私たちと同じように大量に使い始めたら、エネルギー消費は、二酸化炭素の排出量は、どうなるでしょう。
誰でもわかることですが、「これ以上の経済成長は不可能」です。

だから、「経済成長」という前提を捨て、「経済を下げる」ことを理解し、実行しなければならないのです。「イヤだ」と言っても仕方ないのです。
「人間はいつまでも生きていられない、いつか必ず死ぬ」。このあたりまえの事と同じように、これ以上の経済拡大はできないことを、認めるしかありません。
過去、すべての巨大文明は、自然を破壊して滅亡した事を認めるしかないのです。


★八ッ場(やんば)ダム建設中止問題

これも、新政権がマニフェストに掲げた公約の一つ。
群馬県の八ッ場ダムは、他のダムと同様、必要性が検証されないまま、地元の反対を押し切って推進してきました。国民から見ると「中止は当然」ですが、地元は「今さら中止するのは反対」という状況です。国も、「中止するなら地元分担金を返還しなければならない」などの難題があります。

他の先進国では20年も前に「ダムはムダ」「ダム建設は中止」が決まりましたが、日本は「土建政治」「官僚政治」のため、「必要か、不必要か」という議論抜きに、利権のための推進が続きました。新政権は、すべてのダム計画、すべての道路建設、すべての巨大公共事業を凍結すべきです。
それで、年間40兆円の赤字が停止できるのです。
子どもたちの未来に、「地元の利権より、豊かな自然」を残してもらいたいのです。

今後、巨大公共事業の見直し、農業政策の見直し、米軍基地の見直しなどが始まりますが、これについて、利権を失う人たちから大きな反発や抵抗があります。
60年間、作り上げられた利権体制を改める際には、必ず反対が出ます。
それによって誰が利権を得ていたかがわかります。
マスコミは反対を書きたてるかも知れませんが、そんなことに煽られないで、社会が変わることを願い、「世直し」を実現させようではありませんか。