巻頭言

【巻頭言】カンボジア視察報告(2)

カンボジアの悲劇は「途上国問題」ではなく「先進国問題」なのです。
ぜひ、そのことをよく知って、たくさんの人に知らせてもらいたいと思います。
そんな思いで、各地で「カンボジア視察報告会」をスタートしました。

報告会の前半は、児童や少女の人身売買、性的搾取の実態の報告です。
少女とは10~15歳、児童とは5~10歳です。そんな小さな子供の身に何が起こっていると思いますか。大人たちは、小さな子供に何をするのでしょう。
報告会の後半は、貧しい国の悲劇は、先進国の大量消費にあるという点です。
ここがわからないと、「かわいそう。何かしてあげたい」ということに終わってしまいます。
それでは、問題解決しないのです。その根本原因を知ってもらいたいのです。


★現状
・カンボジアはGDP(1人)年間700ドル、つまり1人1日2ドル
・ほとんどは貧しい農民、食べるのがやっとの生活
・貧しい村で、「生きるために子どもを売る」という悲劇が起きている
・売られた子どもは、売春宿に売られる
・違法な方法(監禁、暴力、暴行)で違法な仕事をさせられる
・ケガや病気(HIV)で死んでしまう子どもも少なくない
・逃げ出したり、捨てられた場合、ストリートチルドレンになる
・物乞いをしたり、犯罪に関わったり、売春することになる
・途上国で、こうした状況が広がり、先進国から買春ツアーも増えている


★原因 は「農地を奪われた」こと
原因は、絶対的な貧困です。生きていくために、子供や少女を売り、
おとなの女性は「出稼ぎ」に出るのです。
(女性の方が多いですが、少年、男性の場合もあります)
では、なぜ、それほど貧しくなってしまったのか。
原因の多くは、貧しい農民が農地を失ったことです。


★なぜ農民が農地を失ったのか
土地のブローカーに安く買われたり、だまし取られています。
字が読めない、だまされてサインさせられたという証言もたくさんあります。
私たちは、「警察に言えばいいではないか、裁判をすればいいではないか」
と思いますが、「取り合ってもらえない。
裁判しても負ける」という答えが返ってきます。
土地を奪われた農民が訴えても、勝ち目はありません。
なぜなら、土地の買収は、途上国政府の政策であり、国があと押しをしているのです。
さらには、先進国のODA(途上国支援)も、その悲劇を加速していく場合が多いのです。

農地を失った農民たちは、
1.肉体労働者になる  2.出稼ぎに出る  3.家族(子供)を売る
しかありません。
もちろん全員が「1」になれるわけはありませんし、「1」になった場合でも、
合理化、機械化で解雇される運命が待っています。
多くの人々は、「3」を選択してしまうことになります。


★根本原因 「私たち先進国の消費」
・貧しい農村に土地のブローカーがやってきて土地を買いあさる
・大資本が土地を買い占め、大農園や大工場を作る
・そこで、コーヒー、カカオ、フルーツ(バナナ、パイナップル、
パパイア、マンゴー)やタバコなど、先進国に輸出するものが生産される。
・途上国政府は、経済拡大のためそれを奨励している。
つまり、私たちがコーヒー、チョコレート、フルーツなど、貧しい国から
の輸入品を大量消費することが、貧困国で起きている悲劇の根本原因なのです。


★私たちができること
事実を知り、根本原因を知ること、知らせること
・買春ツアー、セックスツアーをしない、させない
・途上国からの搾取をやめる。コーヒー、カカオ(チョコ)、タバコ、
熱帯フルーツ(バナナ、パイナップル、マンゴーなど)、エビ(養殖)、などの輸入品を食べないようにする


★現地NGOの児童や少女を救う活動
1.売春宿などの摘発、警察と共に救出 (レスキュー)
2.保護、ケガや病気の治療、リハビリ (リカバリー)
3.学校教育、職業訓練から就職まで (社会復帰支援)
4.心の問題、PTSD、HIVなど (カウンセリング)
5.HIVを発症した人たちのサポート (ターミナルケア、ホスピス)
6.地域、学校ぐるみで防止活動 (啓発教育)


★『地球村』は、支援活動を始めました。募金のご協力をお願いします

1.カンボジアの「子どもシェルター(グッデイセンター)の支援」
(現地のNGOの保護施設)

2.インドの「リカバリー・ケア・センターの支援」
(現地のNGOの医療施設)


<募金先>

通信欄に「カンボジア・インド 人道支援」とお書きください

郵便振替
口座番号:00920-7-105330

加入者名:『地球村』緊急募金

※支援金額、用途などは随時ホームページ上でお知らせします。