巻頭言

【巻頭言】 「オバマ大統領ノーベル平和賞受賞おめでとう!」

ノーベル賞委員会、イキなことをしましたね!
ノーベル賞は実績主義ですから、いかに重要な発見でも実用化されて十分な成果を上げるまで受賞はなく、受賞者の多くは高齢者であり、受賞までに亡くなってしまうことも少なくありません。
だから、就任9か月のオバマ大統領の受賞には世界が驚きました。

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【授賞理由(全文)】
ノルウェー・ノーベル賞委員会は、2009年のノーベル平和賞を、国際外交と諸国民の協力関係の強化のため比類なき努力をしたバラク・オバマ大統領に授与することを決定した。
委員会は、核兵器のない世界に向けたオバマ氏のビジョンと働きに特別な重要性があることを認める。

オバマ氏は大統領として、国際政治に新たな環境を生み出した。
国連や他の国際機関の役割を重視した多国間外交が主流の位置を取り戻した。たとえもっとも困難な国際紛争であっても、対話と交渉が解決の手段として選択された。
核兵器のない世界というビジョンは、軍縮と軍備管理の交渉を強力に後押しした。
オバマ氏の先導のおかげで、米国はいま、世界が直面する大きな気候問題に対処する上で、より建設的な役割を果たしている。民主主義と人権はより強固となる。

オバマ氏のように世界の注目をとらえ、人々によりよき将来への希望を与えた人は、ごくまれにしかいない。彼の外交姿勢の基本には、世界を先導する者は、世界の大半の人々が共有できる価値観と心構えを持って臨まねばならないとの観念がある。
108年間にわたって、ノルウェー・ノーベル賞委員会は、まさにこうした国際政策を奨励するよう努めてきており、そうした態度において、オバマ氏はいま、世界の主要なスポークスマンである。
委員会は、「いまこそ、地球規模の課題に地球規模で対応するため、われわれ全員が責任を分かち合うときがきた」とのオバマ氏の訴えを支持する。
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世界の多くの人々は、この受賞を歓迎し、この若きアメリカの大統領に心から拍手を送り、大きな期待を寄せています。
この受賞は、ノーベル賞委員会が述べているように、「オバマ大統領の核廃絶への挑戦の世界全体の応援」なのです。
ノーベル賞授賞式が行われる12月は、国連では核兵器削減について議論され、コペンハーゲン会議(地球温暖化防止会議)では二酸化炭素削減の具体的削減目標について議論されます。この受賞は大きな追い風となるでしょう。


★アメリカが変われば、世界が変わる

考えてみると、ブッシュ前大統領は8年間、何をしたのだろう。

【1】地球温暖化防止から脱退、世界の温暖化対策を8年間妨害した
【2】「9.11」を機にアフガン攻撃、イラク攻撃を始めた
【3】アメリカの「テロへの戦い」により、テロが世界中に広がった
【4】サブプライムローン、リーマンショックで世界経済にダメージを与えた

アメリカの信用は大幅に失墜しました。

それが、オバマ大統領に代わって、まだ9か月。

【1】地球温暖化防止に積極姿勢を示したことで、中国などの姿勢が変わってきた
【2】世界の紛争に対して対話路線を強調。北朝鮮なども姿勢が変わってきた
 (ただし、アフガンについては未解決)
【3】アメリカ国内の経済問題については、まだ結果は出ていない
【4】アメリカへの期待と信頼は、大きく回復した

1人の大統領で、ここまで世界が変わるとは!


★政権が変われば、日本も変わる

思えば、2001年1月ブッシュ大統領が就任した年の4月に小泉政権が始まった。
小泉政権(5年半)とその後の3人(安部、福田、麻生政権)の8年は・・・。

【1】アメリカのアフガン攻撃、イラク攻撃の支援、自衛隊の海外派遣
【2】自由化という名のもとで、「格差の拡大」「貧困層の増大」
【3】郵政の民営化??? あの大騒ぎは一体何だったのだろう
【4】官僚政治、土建政治は変わらず、赤字が膨らむばかり
【5】環境に対してもアメリカに追従、経済優先、環境軽視を続けた
【6】国民は希望を失い、政治に絶望した

アメリカと同じく、不毛の8年でした。

オバマ大統領が就任した今年、日本も9月に政権交代、鳩山政権が誕生。

【1】官僚政治にブレーキ。天下りの凍結
【2】土建政治にブレーキ。ダム計画の中止、凍結
【3】二酸化炭素25%削減を公式に宣言し、世界から大きな注目を浴びる


★いま、変化の年

いま世界は変わりつつあります。日本も変わりつつあります。
しかし、変化は待っていては実現しません。待っていても、変化はやってきません。
変化は、自分がつかみ取るものです。変化は、自分が引き起こすものです。