【環境トピックス】飢餓人口、10億人突破 (国連FAO報告など)
国連食糧農業機関(FAO)の2009年の推計では、飢餓人口は前年より1億人増えて10億2千万人となった。バイオ燃料として穀物が大量に転用され、さらに温暖化がもたらした干ばつや洪水などで食料価格が上昇し、昨年秋の世界的な金融危機後、世界的な経済の混乱が追い打ちをかけた。
FAOは、多くの途上国で経済的な混乱から食料の輸入が滞ったことや、海外への出稼ぎ労働者の多くが経済危機で仕事を失ったこと、さらに中国などが海外の農地への投資を加速させたことも飢餓人口を増加させる原因となったとしている。これまで農地への投資は、生産量や雇用の増加を通じて、貧困地域にメリットをもたらすとされていた。しかし、アフリカや南米では、地元民が農地として使っていた国有地を、政府が外国企業に売ったり、貸し出した結果、逆に貧困を深刻化させているケースもある。国連は事態を重く見ており、11月16日より開催の食料サミットでは、2025年までに世界から飢餓を根絶、2050年までに食料生産を7割増やす必要があることや、食料危機に対する国際的な枠組みや農地への投資のあり方について話し合われた。