巻頭言

【巻頭言】新政権の進むべき道

先日、首相官邸を訪問しました。『地球村』の仲間や、会社の同僚だった方が要職に就いておられるのでお会いして、私の考えを少しお話してきました。

1.高速道路の無料化 2.ガソリンの値下げ 3.エコカー減税 などは温暖化防止、二酸化炭素削減、予算面でも大きなマイナスである。

ドイツなど環境先進国のように、炭素税、環境税を導入して、自動車社会から公共交通にシフトするべきではないか。という点を話しました。理解は得られましたが、マニフェストや利害の対立などで難しいようです。


★史上最大の赤字国債

新政権は「赤字国債を出さない」と公約していたが「史上最大の赤字国債」を出すことになりそうです。原因は、各省庁に従来通り予算を出させたこと。総額で97兆円(史上最大)になり、「事業仕分け」をしたが「焼け石に水」。
これは本来、「来年度の税収が40兆円を切りそうなので、総額が40兆円を超えないように予算を組むこと」と指示すべきでした。

★沖縄普天間基地問題

前政権が政府間合意した辺野古を県外、国外などでもめているが、大きなビジョンの転換のないまま、場所変更の議論は難しい。
本来、「日本は平和憲法を遵守し軍備放棄する。米軍基地は○年以内に全面撤去をお願いする」というビジョンのもとで交渉しなければならない。


●国家ビジョンが無かった

日本は戦後「焼け跡からの復興」から始まり、60年以上政権交代が無かった。
経済優先ばかりで、国民にしめすべき国家ビジョンが無かった。
その結果、GDPは上がったが、多くの弊害が生まれました。

★現状の問題点
・列島改造、土建政治、巨大開発 ⇒ 環境破壊
・工業立国、工業重視、輸出経済 ⇒ 農林水産業の衰亡 
その結果、食糧自給率、エネルギーの自給率が極端に低い。
その結果、環境、福祉、教育などの社会システムに矛盾が多い。
その結果、国民が夢や希望を失い、心が荒れ、生活に追われている。


●国家ビジョンを明確にする

進むべき方向として「環境と福祉、安心と安全、政治的中立、平和国家」を内外に示す。
・土建政治、巨大開発の終焉を宣言
・環境と福祉の国家として進むことを宣言
・平和憲法を遵守し、非戦、非武装、中立を宣言
・老後の不安が無い、医療費の不安が無い、教育費の不安が無い国へ

★ロードマップを明確にする
1.国家ビジョンの実現を10~20年とする
2.それを実現するためのロードマップを発表
3.まず赤字ゼロ ⇒ 現在の国家赤字(1000兆円)を帳消しにする
4.赤字国債を発行しない ⇒ 国家予算は税収内で組む
5.国家ビジョンの実現に向けて、国家予算は長期的に組む
6.国家予算に合わせて、長期的に税率を決める

★老後、医療、教育について
デンマークは税率が70%を超えるが、「老後と医療と教育が保証(無料)されている」から国民は安心。日本の税率はデンマークの半分だが、税金が無駄に使われ赤字ばかりが増え、国民は将来の不安と、政治への不信がある。日本も、「10年後に老後と医療と教育を無料にする。そのために増税を行う」と宣言し国民に信を問うべきではないだろうか。

★食糧について
1.国として「世界的食糧危機に備えて自給自足をめざす」ことを内外に宣言
2.段階的に食糧輸入を減らし、国内の自給率を上げる
3.農林水産業を国として支援

★エネルギーについて
1.省エネ、省資源、低炭素、低消費、循環型社会
2.自然エネルギーに転換(家庭レベルではなく企業レベルで)
3.自動車から公共交通に転換

★環境について
1.省エネ省資源、脱原発、脱火力、自然エネルギー(太陽熱、風力、地熱)
2.2050年、CO2排出ゼロをめざす
3.環境調和社会、自給自足

★中央集権から地方主権へ
1.道州制など地方主権へ
2.現状の税制を、国税から地方税に重点を移す
3.公共事業は原則として、地方に移管