地球は今

【地球は今...】土建王国日本からの脱却

政権が変わり、予算編成の仕組み、独立行政法人など外郭団体へのお金の流れなど、これまで市民には見えてなかったことが見えてくるようになって来ました。
公共事業を見直す作業もその一つです。今回は日本の公共事業の現状をまとめてみました。日本はこのままでいいのか一緒に考えてみましょう。 



●日本の土建費、公共事業

日本のGDPのうち建設業は、48兆円。世界の中で比べてみると、先進国の中でも有数の大きさです。
日本の48兆円の建設投資のうち、24兆円は公共事業費、つまり私たちの税金です。
この公共事業費(※行政投資実績)は1997年から2006年の10年間で362兆円が使われています。 

  [2007年の土建費]  

アメリカ

61兆円
日 本 48
フランス 13
ドイツ 11
イギリス 11

総務省「世界の統計」、日本の額は国土交通省「建設投資見通し」  

※この行政投資実績には、自治体が作る土地開発公社、都道府県の有料道路や駐車場を管理する地方道路公社のほか、○○開発機構などの各種機構、各種事業団、各種研究所などの大半が含まれていないため、実態はこれよりもさらに大きくなりますが、公共事業全体の正確な金額はわかりません。



●これまでに行ってきた公共事業の結果

 

※以下の【カッコ】内は、1997年~2006年の公共事業費(行政投資実績)の総額

・道路
【101兆1770億円】
道路の総延長は地球30周分(120万キロメートル)日本の可住地面積あたりの道路の長さ、道路コストは他の先進国に比べて桁違いに大きい。

[可住地面積あたりの土建費、道路の長さ、道路

コストの比較(アメリカを1としたときの比率)]

 

土建費 道路長さ 道路コスト
日本 43 10 28
アメリカ 1 1 1
フランス 4 3 4
ドイツ 5 1 3
イギリス 6 2 3

「世界の道路統計2005年」を元に作成

・ダムなど
【34兆7665億円】
全国のダム総数は2887基もある。

・農業関係
【32兆1678億円】
農林道、農業用水、農業ダムなど・・・諫早湾干拓事業などを含む。

・空港
【2兆5468億円】
全国に97空港。建設中の茨城空港は、500億円以上の事業費で建設されていますが、国内定期便の予定がない。

※八ツ場ダムは必要??   (東京新聞2009年11月2日、11月27日など)

・上流に世界的にもまれな強酸性の草津温泉などがあり、八ツ場ダムを建設するためには、大量の石灰による酸の中和が必要です。
 しかし、酸性のまま流れ込んでいる河川もあり、コンクリート製のダムを建設した場合の安全性に不安が残る。
 さらに中和後の生成物(しゅんせつ汚泥)の除去にも税金が必要です。
・八ツ場ダムが必要という根拠になっている利根川の最大流量は、未着工の上流部のコンクリートによる堤防計画がすべて完成したという前提や上流に森林が少なかった昭和期の台風を元に試算されています。
 50年が経ち、ダムが必要と試算されている水量の半分を超えることが一度もありませんでした。

⇒ まず、本当に必要かどうかの試算のやり直しが必要です!

 


 ●日本の借金は、公共事業費とともに  

上のグラフのように公共事業費をつぎ込むほど、日本の借金は増えていっています。 
一方でここ数年は、公共事業費を抑制し、減少していますが、GDPの増減との関係性(下のグラフ)は薄くなってきています。

日本も公共事業に頼る土建国家ではなく、デンマークなどの北欧やドイツのような、高福祉、環境配慮型の  国家を目指  すこ  とが必要  になってきているのです。  

事業仕分けなどで、これまでのおかしな税金の使われ方が、見えはじめていますが、それでも氷山の一角です。
私たちも政治に興味関心を持ち、公共事業なども大きな視点で見るようにしましょう。


参考文献:「週刊ダイヤモンド12月12日 特大号 ゼネコン消滅列島」