【地球は今...】生物多様性とエコラベル
生物多様性条約締約国会議(COP10)が10月18日~29日に名古屋で開催されます。
生物多様性を守るための取り組みの一つとして私たちにできることは、毎日の買い物で何を選ぶかということです。
今回は、その基準となるエコラベルについて見てみましょう。
●生物多様性の減少
・今世紀末までに、熱帯林の3分の2が消失の危機
発展途上国で森林保全対策を取らないと、アジアやアフリカ、中南米に現存する熱帯林の3分の2(アジア57%、中南米は63%、アフリカは67%)近くが破壊される危険が高いと推計。
[国際研究チーム(The Terrestrial Carbon Group Project:TCG)]
・絶滅危惧種は増加
地球上に棲む生物種は1000万種ともそれ以上とも言われていますが、そのうちこれまでに人類が分かっているのは164万種しかいません。
国際自然保護連合(IUCN)は、絶滅した種や絶滅の危機にある野生生物種を「レッドリスト」として公表しています。
最新のデータでは、これまでに調査が終わっている約4万5千種のうち、38%(約1万7千種)が絶滅の危機にあると報告しています。
絶滅危惧種 | |
哺乳類 | 21% |
鳥類 | 12% |
両生類 | 30% |
昆虫 | 50% |
爬虫類 | 31% |
魚類 | 37% |
顕花植物 | 73% |
・海の生態系はさらに厳しい
世界の天然魚の漁獲は、1980年代半ばをピークに20年間減少を続けています。
生態系で上位にある大型魚は90%も減少しており、このままの漁獲を続けると今世紀半ばには天然魚を食べることができなくなるという予測もあります。
また、海洋の酸性化により、貝類やプランクトンの減少など、さらに深刻な状況も予測されています。
(今月号のトピックスもご覧ください)
●エコラベルの紹介
欧米を中心に、生態系を保護するために、持続可能な資源維持に配慮された原材料を使用している商品にエコラベルが付けられており、消費者が選択する大きな基準となっています。
・MSC(海洋管理協議会)認証
1.「資源を枯渇させない」
2.「海の生態系や多様性を維持する」
3.「法律を順守する」 という3つの原則に基づき、持続可能な漁業による海産物製品を認証する仕組み。
2000年からイギリスで認証が始められたが、日本でも一部の大手スーパーでこの認証をうけた海産物が販売され始めています。
・ほかにも森林を破壊しないように管理された森林資源や農産物などを使った商品や紙製品など、認証ラベルの付いた商品が見られるようになっています。
●私たちの生活と生物多様性
一昨年の日本の古紙100%原料が虚偽であったように、日本でのエコラベルの基準は非常に甘く、「○○使用」と書かれていてもその比率が分からなかったり、十分な追跡などが行われていない場合が多いです。
上記のような海外基準のエコラベルには、配合比率や原産地の記入などが義務付けられ、私たちの購入の一つの判断基準となります。
しかし、エコラベル商品であっても遠く海外の森林資源や農産物の場合、輸送エネルギーを考えると選ぶことが妥当とは言えません。
国産品に対して、海外と同程度の厳しい基準のエコラベルが必要であり、そうした商品を選び、育成することが日本の急務です。
昨年の衆議院選挙での投票行動で政権が交代し、いろいろなことが変わり始めています。
投票は選挙の時にしかできませんが、買い物で何を選ぶかは、どの企業の製品を選ぶかということになり、いわば毎日できる投票です。
グリーンコンシューマとして、毎日の買い物に気をつけることは、社会を変えていく一歩になるのです。
グリーンコンシューマとして私たちにできること
・エコラベルや商品の表示を見るように心がけましょう
・できるだけ国産品を買い、輸入品を買わないようにしましょう
・衝動買いをやめ、いらないものを買わないようにしましょう