【地球は今...】だから、今、ストップ・フロン
フロンガスの問題といえば、オゾン層の破壊です。オゾン層破壊は解決してしまったかのように思えますが、本当にそうでしょうか?
フロンガスの問題は終わったのでしょうか?今回は、現在のフロンガスの問題について見てみましょう。
●フロンガスとは?
これまでフロンガスは、身近なところで使われてきました。
1974年にローランド博士、モリーナ博士がフロンガスによりオゾン層が破壊され、地球上に甚大な被害を及ぼすことを指摘。
その後、国際条約(モントリオール議定書)により大幅な規制が行われてきました。
【フロンガスの用途】
・冷蔵庫やエアコン、ジュース自販機などの冷媒
・スプレーのエアロゾル
・断熱材(発泡ウレタン等)の発泡剤
・半導体の洗浄剤(現在は使用されていません)
●今、オゾン層破壊の現状は?
オゾン層を破壊する力が最も強い特定フロン(CFC)は、先進国(1995年)、途上国(2009年)でともに生産停止となりました。
破壊力の弱い代替フロン(HCFC)も2020年(途上国は2030年)までに生産停止の方向で進んでいます。
2007年のオゾン層破壊物質の消費量は、途上国を含めても約95%以上(フロン破壊係数で換算)の削減がされています。
それでも、オゾン層破壊の現状は厳しい状態が続いており、回復には今世紀いっぱいかかると報告されています。(UNEP報告)
●もうひとつのフロンガスの問題
オゾン層破壊を止めるための国際条約に沿って、フロンガスの削減が行われてきました。
このため、特定フロンから破壊力の弱い代替フロン(HCFC)や、オゾン層を全く破壊しない代替フロン(HFC)へ切り替えが進んでいます。
しかし、この代替フロンは、二酸化炭素よりも地球温暖化の効果が2000~4000倍も大きいのです。
地球温暖化を止めるためには、この代替フロンの消費が増えている現状を変える必要があります。
●今、日本にあるフロンガスの総量
家庭にある冷蔵庫やエアコン、カーエアコン、自動販売機やコンビニ・スーパーなどのショーケース、壁の断熱材などにフロンガスは閉じ込められています。
その総量は、34万トン以上といわれています。これを二酸化炭素に換算すると7億トン。
この量は、日本の二酸化炭素の年間排出量(13億トン)の半分以上にあたります。
このフロンガスをきっちりと回収する事が大切です。
【フロンガスの量】
カーエアコン 4万トン
家電品 10万トン
業務用品 10万トン
建築物断熱材 10万トン
スプレーなど 2千トン/年
●少しずつ漏れ出すフロンガス
・冷蔵庫やクーラーを電気店などで家電リサイクル法に沿って廃棄するとほぼ適切にフロンガスの回収が行われているが、不正な家電回収業者では回収されない。
クーラーは業者に理解がないため、廃棄時に回収されていないこともある。
・スーパーやコンビニなどにある業務用のショーケースなどから、漏れ出したり、適切に処分されないことも多く、回収率は3割を下回っている。
・中古車を海外へ販売する場合など、適切に回収されない場合が多く、回収率は3割程度しかない。
また、ショーケースやカーエアコンなど、冷えが悪いために「フロンを補充する」=「フロンガスが年々漏れている」ということも認識する必要がある。
・建築物の断熱材やスプレーなどのHFCは、生産、排出の両方共規制が全くない。
知らずに放出させたり、規制されていないなど結果として放出されているフロンガスは毎年、二酸化炭素換算にすると約 5000万トン(日本の二酸化炭素排出の4%)になります。
温暖化ガス削減25%の目標達成に向けて、日本のフロンガスの法律は複雑(家電リサイクル法、フロン回収破壊法、自動車リサイクル法など)で抜け穴、規制外があり、現状の法規制では限界があります。
製品の廃棄時、整備時に限定した規制ではなく、使用時のフロン漏洩に対する規制なども必要です。
フロンを有害物に指定し、使用量の管理や使用表示を義務化する必要があります。
また、デンマーク、ノルウェーなどでは温暖化対策としてフロンに課税をしています。
私たちもフロンに関する認識を改め、回収などに積極的に取組む必要があります。
【まとめ】 新たなフロンガス規制が必要
・総合的なストップ・フロン法を作るように国会議員などに働きかけよう
・日本のフロンガスの法律は複雑で抜けが多い ⇒ 一元管理し規制を強化
・2020年までにフロン使用を全面禁止
・フロン税の導入
・冷蔵庫やクーラーの廃棄時に、電気屋さんにフロン回収を確認
・家電を違法業者に引き渡さない
参考サイト:
「オゾン層に関するQ&A」(環境省)
http://www.env.go.jp/earth/ozone/qa/index.html
「ストップ・フロン全国連絡会 (JASON)」
http://www.jason-web.org/