巻頭言

【巻頭言】自分で考える(続き)

先月は、自分で考えることの重要さを書きましたが、今回はその力をアップするための具体的な方法を述べます。

ふと疑問に感じたことについて「自分との対話」をしてみること。
「自分との対話」は自問自答と違い、「もう一人の自分」との対話です。
「も う一人の自分」とは、現状の自分(感情的な自分)とは別の冷静な自分のことです。

現状の自分の疑問や悩み、怒りを、「もう一人の自分」にぶつけてみるのです。

自  腹が立つ!
別  どうして?
自  だって悪口を言われたんだから!
別  悪口って?
自  私のことをうそつきだって!
別  それが悪口?
自  うそつきって悪口でしょ!
別  そうかなあ。うそつきって悪口なの?
自  私はうそなんてついていない!
別  うそはつかないの?
自  そりゃあ、時によるけど・・・ うそをつくこともあるけど・・・。
別  じゃあ、うそつきというのは悪口じゃないんだね?
自  でも、あんな言い方は、人を馬鹿にしてる!
別  馬鹿にするってどういうこと?
自  人を見下ろすみたいな態度だった!
別  見下ろすってどういう意味?
自  自分の方がえらい、自分は何でも知っているみたいな態度!
別  そう言ったの?
自  いや、そうじゃなくて、私がそう感じたんだ。
別  何が問題なの?
自  何がって・・・ もっと私を大事にしてほしい!
別  なるほど。じゃあ、どうすればいいと思う?
自  まず、ああいう言い方はやめてほしい。
別  じゃあ、どうすればいいと思う?

いかがでしょう。

自  日本はなぜゴミが多いんだろう!
別  なぜだと思う?
自  過剰包装が多いから。
別  なぜ日本は過剰包装が多いの?
自  見かけを重視するから。
別  なぜ日本人は見かけを重視するの?
自  中身がわからないから。見かけを気にするから。
別  なぜ日本人は、見かけを気にするの?
自  日本人は、自分に自信がないから。
別  なぜ日本人は、自分に自信がないの?
自  自分で考えないから。
別  どうして自分で考えないの?
自  馬鹿だから。教育が間違っているから。
別  じゃあ、どうすればいいの?
自  教育を変えないといけない。
他  どう変えればいいの?
自  自分で考えるようにすればいい。
他  それにはどうすればいい?
自  そういう意識を持った人を増やさないといけない。
他  それにはどうすればいい?
自  自分がそういう意識を持ち、周りに伝えていけばいい。

おわかりでしょうか。
「自問自答」では堂々巡りになってしまうことでも、「自分の中のもう一人の自分」との対話では、このように冷静に対話 することで、問題がほどけていきます。
なぜなら、「自問自答」は、同じ人間が、同じ考え、同じ気分、同じ感情で会話するのと同じですから、発展が ないのです。必ず行き詰ってしまいます。さらに考えが強化されたり、感情が増幅してしまい、より危険な方向に行く場合もあります。

それに対して、「もう一人の自分との対話」は、同じ人間であっても、冷静であり、別の視点で考えることができます。感情的になっていれば冷静にさせ ることができ、一つの視点であれば、別の視点に気付かせることができます。
これこそ、「コーチング」なのです。『地球村』ではMMと呼んでいたこ とです。
問題は自分で考え、自分で解決するしかないのです。そして、その解決には、答えが一つではないのです。「答えは常に7つある」のです。こ れしかない、という考え方は危険です。7つというのは「たくさん」という意味です。「答えは無数にある」のです。
どんなときにも、自分の頭で考え るのです。
そのためにも、ふだんから、意識して練習してみることが必要です。