2010年8月号 福山市議会議員 落合真弓さん
広島県福山市で、市民派の市議として活躍する落合さん。14年前に『地球村』と出会い、地域『地球村』の活動にかかわったことを転機に、数々の市民活動を経て、2年前に市議選に挑戦しました。「女性市議をもっと増やしたい。市民目線で普段着の政治家を増やしたい」と願っています。
■ 「ほんまやな」に奮起!
高木 こんにちは。今日はよろしくね。
落合 こちらこそ対談に招いていただき光栄です。
高木 そもそも私たちの出会いはいつなんでしょう。
落合 14年くらい前、船井さんの本で対談を読んで高木さんにものすごく興味を持ちました。その頃は九州に住んでいて、ちょうど講演会があったので出かけていきました。実はその5日後に福山に引っ越すことになっていたのですが、何とタイミングよく翌週に福山で講演会があるというじゃありませんか。すぐに主催の地域『地球村』に連絡を取って、福山でも講演を聴かせていただきました。スタッフのミーティングにも混ぜていただいて、講演の感想をみんなが述べるシーンになりました。その時、私は確か「このままじゃいけない。がんばって何かしようと思います」と言ったんです。そしたら「ほんまやな?」と切り返されて、「私は本気でやろうと思っているのに!」とそこから奮起したんですよ。今思うと、うまい刺激だったなあと思います。
高木 あははは…。僕はよく「ほんまやな」って言いますよ。刺激になったのならよかった。
落合 私の場合、それがスイッチになりました。そこから非対立で伝えるにはどうしたらいいのだろうって考え続けて、夜も眠れなくなりました。九州時代に生協の仲間たちと遺伝子組み換えを伝える紙人形劇を作ったことがあるんです。そのことを思い出して、紙人形劇なら大人にも子どもにも伝わるんじゃないかと思いつきました。当時、福山には地域『地球村』がありましたから、昼間集まれるお母さんたちに声をかけて、オゾン層破壊を伝えるために「帽子をかぶろう」という紙人形劇を作り、保育所や幼稚園を回り始めました。多い年には年間100公演くらいやっていました。
高木 それはすごい!本当にいい刺激だったんだね。何人くらいで回っていたの。
落合 30人くらいいました。その後、福山市のスーパーは身体や環境にいい食品や日用品を売っているのかエコ度調査をしようと、仲間と85店舗を調査し「地球に優しい暮らし方ガイド」を出版したりもしました。
■ 市民の知らない公共工事
高木 啓発と実践、理想的に動いているんだね。そこからどう展開しましたか。
落合 その頃、ちょうどごみ処理のためにRDF(廃棄物固形燃料)工場を作るという問題が福山市に持ち上がりました。私たちはいろいろな団体とネットワークを組んで、RDFの専門家を呼んで勉強会を開催しながら反対運動を続けました。何百億円もかかる事業を、議会は、国や県からお金が下りるといってわずか3ヵ月の審議で決定。国民の税金なのに。
高木 税金ならまだいいよ。公共事業には、私たちの貯金(預金)、年金、保険から、金融投資という形でお金がつぎ込まれている。浪費していいはずはないお金だし、全部が国民の資産だよ。
落合 そうなんです。でも1年間がんばりましたが、結局はGOということに。それで、ごみ処理施設に反対するだけでなく、私たちがごみを減らすことに取り組まなくてはだめだと、「ごみをなくそう円卓会議」を立ち上げました。この円卓会議は、話し合うだけではなく推進もしていこうということになって、現在活動中の「ごみ5R推進本舗」に名前を変えました。
高木 「ごみ5R推進本舗」では主にどんな活動をしていますか。
落合 「家庭環境小学校」という環境イベントを、各小学校の学区単位で開催したり、80万人の来場者がある「ばら祭」のイベントのゴミをゼロにする企画・運営など、環境啓発をしています。
■ 市民活動と市議の両立
高木 そろそろ市議立候補の話に移りましょうか。
落合 福山の鞆の浦に、湾を埋め立てて橋をかけようという計画が持ち上がっていて、その反対運動をしている女性からSOSの電話をもらったことがきっかけです。この橋は本当にとんでもない計画なので、一緒に反対運動をすることになりました。そんな時に「市議にならないか」と誘ってくださる人が現れました。最初は拒否していたのですが、「目の前に問題があるのに、それは私の責任やないわと言うのは逃げや。ごみも鞆の橋も市民が知らないところで決まっていく。市民に開かれた議会が必要や。これは放っておけない」と思ったんです。
高木 おお、ここでついに「 落合真弓立つ!」だね。
落合 はい。決心して立ちました。ぎりぎりの最下位当選でした。市議選は票割りがほぼ決まっていて、突然立候補した新人が割り込むのは難しい選挙なんです。
高木 市議として3年目だけど、ここまでどんな活動をしてきましたか。
落合 46人の市議のうち、市民派の無所属は私一人なんです。鞆の橋に反対を表明しているのも、共産党の市議さんと私だけ。なかなか結果は出せないのですが、情報公開という面で通信レターやブログを出して市民にアピールしています。ただ私にとって大きな転機は、高木さんの政経塾に参加したことです。議員1年目に誘われて参加しました。その時私は、「原点を忘れていた」と気付かせてもらいました。私は市民運動の出身で、ずっと環境やまちづくりのことをやってきたのに、「議員になったから市民運動はできない」と思い込んでいたんです。
高木 議員である前に市民だよ。市民活動も講演会も、人形劇だって、何でもやっていいんだよ。議員という足枷を外すことができてよかったね。
落合 本当によかったです。そこで私は議会で戦うだけではなく、市民に知らせていく活動を市民運動というかたちで並行させようと考えました。高木さんの講演会を主催したり、市民の方に公聴会を開いたり、原点に戻った活動を再開したら新たな仲間が増えてきました。私は今、市民と同じ目線で、普段着の議員になろうと思っています。そして同じ気持ちの議員を、できれば女性議員を増やしたいと思っています。
高木 ジェンダーバランスからも、議会の半分は女性議員にしたほうがいいね。では、最後に8月の平和ワークショップのPRをどうぞ。
落合 8月8日~9日に高木さんをお招きして、広島で初めての「平和のワークショップ」を開催します。原爆の被爆者や今春の核拡散防止条約検討会議(NPT) に参加した方などのお話やオプションツアーもご用意しています。ぜひ一緒に平和な社会を考えましょう。
高木 楽しみにしています。ぜひ成功させましょう。
■落合真弓ブログ(平和WSのお知らせもあります)
◆平和のワークショップ
「環境と平和 ~幸せな社会のつくりかた~」
場 所 :広島県福山市 御舟宿いろは
日 時 :8月8日(日)13:00 ~ 8月9日(月)17:00
主 催 :ごみ5R推進本舗・いのちの政経塾
お問合せ :メール jza03215@nifty.ne.jp
TEL&FAX 084-924-2431 (落合)