【巻頭言】 映画『ザ・コーヴ』を観て
映画『ザ・コーヴ』は、イルカ保護団体が日本のイルカ漁をテーマに制作した映画でアカデミー賞(長編ドキュメンタリー賞)を受賞し、その上映については、日本各地で反対運動が起きて上映中止が相次いでいることでも話題になっている映画です。
NHK「クローズアップ現代」でも取り上げられるなど賛否両論ですが、だからこそ、ぜひ映画を観てください。
●日本の捕鯨について
・商業捕鯨は国際的に禁止されているが、日本は「調査捕鯨」という名目で毎年1千頭以上のクジラを殺し、食用として販売をしている。
・調査が目的なら、毎年これだけ多数のクジラを殺す必要があるのだろうか。
以上が捕鯨について一般的な認識ですので、この映画もこうした論点で「日本の捕鯨」を告発する映画だと思っていました。
ところが、実際に映画を見ていると、論点が違っていました。
●映画では
・日本は年間2万3千頭のイルカを殺している。生け捕りした一部は動物園や水族館に販売し、残りのほとんどは食肉として販売している。
・日本ではイルカ肉がクジラ肉として流通しており、日本人はイルカだと知らずに食べている。
・イルカ肉には水銀汚染が大きいものが含まれている。
・和歌山のある地域で、湾に追い込まれた多数のイルカが銛(もり)で残酷に殺され、湾はイルカの血で真っ赤に染まっている。それは住民にも厳重に隠されている(映画では、現場に潜入し、殺戮の現場を隠し撮りしていました)。
日本ではクジラ肉が売られ、食べていることはもちろん知っていましたが、「イルカ肉」が「クジラ肉」として流通して、知らずに食べていることに驚きました。
イルカとクジラは共に哺乳類でクジラ類の仲間です。確かに大きさの違いだけですから、なるほどなあと納得しましたが、「もう絶対にクジラは食べないぞ!」と思いました。
イルカの曲芸、ライオンの曲芸、猿回しのサル、動物の調教なども、動物愛護の観点から考えてみれば、動物虐待だし、ペットを飼っている現状も、近未来には、過去の奴隷制度と同じように、「昔はひどいことをしていたなあ」という時代が来るでしょう。
この映画は、皆さんにぜひ見ていただきたいと思います。
そして、私たちの生活、考え方を見直すきっかけにして欲しいと思います。