福島第一原発の事故は人災(判断ミスや対応の遅れが招いた事故)
(1)電源喪失
・東電は「過剰な安全性基準はコスト高につながる」と考え、巨大津波を想定していな
かった。
・想定した津波は最大5.7メートル。実際の津波は約14メートルに達し、非常用ディー
ゼル発電機が冠水して、1~3号機ですべての電源が失われた。
⇒安全とコストを天秤にかけた結果、危機の連鎖が始まった
(2)炉心溶融
・原子力安全保安院は「多重防護の安全設計がされていて、炉心溶融の可能性は
ほぼゼロに近い」と考えていた。
・電源喪失により、安定的に原子炉を冷却できなくなり、炉心溶融が起きた
⇒長時間に渡って電源喪失することを想定しておらず、想定外の事故ではなかった
(3)ベント作業
・蒸気で内部の圧力が高まり、圧力容器や格納容器が損傷する恐れが高まった
ため、ベント(排気)を行った。
・政府がベントを行うと表明してから実行するまでに11時間以上かかった
⇒この間に炉心溶融が進み、圧力容器や格納容器が損傷して、ベントによって大量の放射性物質が飛散した。
(4)海水注入
・安定的に原子炉を冷却できない状態が続き、早期の海水注入が必要だった
・海水注入を行ったのは、炉心が溶融して水素爆発が起きた後だった
⇒海水注入の判断が遅れたため、水素爆発が起きて大量の放射性物質が飛散した
(5)使用済核燃料プール
・定期点検のため休止中だった4~6号機は安全と思われていた
・使用済核燃料を冷却できずに水素爆発が起きた
⇒原子炉の冷却を優先して、使用済核燃料の冷却について何もしなかった
(6)汚染水
・2号機タービン建屋地下で高濃度の放射線を検知(1時間あたり1000ミリシーベルト)
・作業員が被曝し、汚染水の存在が判明
⇒原発事故から2週間経って初めて汚染水の存在が判明した
(7)原発事故の規模
・元々はレベル4と発表していたが、4月12日にレベル7に引き上げた
・3月23日に放射性物質の放出量がレベル7に該当すると分かっていた
⇒3月23日の時点でレベル7になると認識していたが、すぐに引き上げなかった