脱原発への道

5分で分かる!原発がいらない理由

菅首相の要請で浜岡原発が停止し、政府のエネルギー基本計画は白紙から見直されることとなりました。これは、日本の政治が、業界や官僚によって動きが取れない現状であることを考えると異例です。業界もマスコミも「唐突過ぎる!根回しが無い!」と強く反発していますが、これは「周到な根回し」では、できなかったことです。
ここで改めて、「原発のウソ」と「脱原発は可能である」ということをまとめました。
(事務局 渡辺裕文)

 

●「日本の電力の3割は原子力発電」?
日本の電力の3割は原子力発電とよく聞きます。確かに発電している3割は原子力発電です。しかし、「原子力発電を止めたら、電気が3割不足する」というのは間違いです。
私たちがよくみかけるグラフは、原子力発電をベースにして発電しているグラフですが、グラフを下の図のように書き換えると、原子力発電は全く必要ないというグラフになります。水力発電、火力発電で日本の電力は十分にまかなえるだけの発電設備があるのです。

  

 

〔ピーク時の電力は法律と政策で下げることが可能〕
夏の一番暑い時間帯には、クーラーなどがフル稼働し、電力消費がおおくなります。
アメリカのカリフォルニア州では、ピーク時の電力を2割下げた家庭には費用還元するなどを実施、フランスではピーク時の電気代だけを高額にして他の時間帯は安価にするという契約を設け、ピークを下げるようにしています。
日本に今足りないのは、電力ではなく、工夫なのです。

 


●「原発の発電単価は安い」?
原子力発電の発電単価は安いと公表されています。政府や電力会社のデータをもとにグラフを作ると、上の図のようになります。
しかし、原子力の発電単価の計算には多くのごまかしがあります。損害賠償、廃炉費用、使用済核燃料の処理費、交付金というばらまき、原子力を取り巻く多くの天下り組織などの費用を含めると、非常に高価になります。
また、上の図では、水力の発電単価には揚水発電の単価が含まれています。揚水発電は原子力とセットで利用する設備ですから、水力から揚水発電の単価を引きます。
そうすると、原子力の発電単価は、火力や風力よりもはるかに高くなり、反対に水力の発電単価は最も安くなります(下の図)。
「原発の発電単価は安い」という宣伝は事実ではないのです。

 


   

●「原発はCO2を排出しない」?  「原発は温暖化対策になる」?
原子力発電はCO2を発生しないと言われています。確かに発電時にはCO2を排出しません。しかし、ライフサイクル全体では、火力に匹敵するCO2を排出しています。
今回の事故で明らかになったように、発電終了後も、冷却のために外部からの電気が何年にもわたって必要です。その電気のためにCO2が排出されているのです。
また、原子力発電所の冷却のために大量の水が必要で、その温水を川などに放水しています。原子力発電所からの熱で地球を暖め、地球温暖化をより進めることになります。

 

●原発を持っている国で日本ほど地震が発生している国はない
原発を持っている国のなかから、日本、イギリス、アメリカ、ドイツの4ヵ国で地震の発生数を比較しました。


狭い面積で多数の地震が発生している日本に多くの原発が建設されています。浜岡原発は停止しましたが、福島と同じ事が他の原発で起きないという保証はどこにもないのです。

 

●自然エネルギーへの切り替えのチャンス
環境省は、風力発電で原子力発電40基分は発電可能と発表しました。より安心出来る自然エネルギーを求めて、私たちが意思表示をしていく時です。今がとても大切なターニングポイントなのです。
ぜひ、身近な人や地元の議員、電力会社などに自分の気持を伝えていきましょう。

 

 

★『地球村』代表・高木善之の講演では、大地震と原発事故についてわかりやすくお伝えしています★
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