地球は今

【地球は今...】「紛争鉱物」と私たちの生活

2009年に公開されたジェームズ・キャメロン監督の映画「アバター」。3Dの映像がクローズアップされ、大ヒットしましたが、アカデミー賞作品賞などは受賞しませんでした。その理由はこの映画「アバター」のテーマ「紛争鉱物」にあったとも言われています。今回は、その「紛争鉱物」についてまとめてみました。(事務局 渡辺)

 

●映画「アバター」のあらすじ

地球から離れた惑星「パンドラ」は、地球の熱帯雨林に似た密林に覆われた美しい星で、野生動物と先住民族「ナヴィ」が暮らしていた。ナヴィの聖地の下には、地球のエネルギー問題の解決に必要な希少鉱物アンオブタニウムの鉱床があり、人間はその採掘のために主人公をナヴィの世界へ送り込む。平和的な解決を望む主人公の思いはかなわず、人間とナヴィとの武力衝突が始まった。

※ジェームズ・キャメロン監督自身、ブラジルのアマゾンに計画中のベロモンテ水力発電ダムの建設反対運動に参加している。ダム建設と反対する先住民という構図が、映画『アバター』のストーリーともよく似ており、「巨大ダムは21世紀の今では時代遅れ。先住民の知恵はブラジル最大の資源のひとつ」とコメントしている。(AFP)

 

●「紛争鉱物」とは

「アバター」のように先住民の土地に産する鉱物資源をめぐって紛争や人権侵害が起きたり、産出している希少鉱物が売買された資金がその地域での紛争の資金源となり、紛争の長期化や拡大に使われることがあります。

こうした鉱物資源を「紛争鉱物(Conflict Minerals)」と呼んでいます。

 

●いま、起きている鉱山を巡る紛争

世界の発展途上国の鉱山では、政府、地域住民、鉱山会社、NGOの間で、先住民の強制移住や抑圧、自然破壊、環境汚染、児童労働、奴隷労働などの問題で反対運動や係争、政争、紛争などが起きています。例えば、

・ペルーのリオブランコ鉱山(銅、モリブデン)

・アフガニスタンのアイナック鉱山(銅)

・ニューカレドニアのゴロー鉱山(ニッケル)

 ・パプアニューギニアのポルゲラ鉱山(金)、ラムー鉱山(ニッケル)など

他にも、カナダ、ホンジュラス、メキシコ、エクアドル、チリ、アルゼンチン、フィリピン、ベトナム、インドネシア、マダガスカル、タンザニア、ニジェール、ギニア・・・・。

特に、コンゴ共和国、ザンビア、中国などでは、レアメタルの鉱山をめぐっての争いが起きています。

 

――「レアメタル」と「レアアース」――
「レアメタル」とはハイテク産業などに利用される流通量が少ない希少金属のことで、リチウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、モリブデン、パラジウム、 タンタル、タングステン、白金などの金属のことです。この「レアメタル」のうち、ネオジム、テルビウム、セリウムなど17種類の希土類元素を「レアアース」と言います。
この「レアアース」は、ハードディスク、液晶テレビ、風力発電タービン、電気自動車などに利用されるため、昨年9月の中国の輸出規制で日本は「レアアースパニック」とも言える状況になりました。

 

●身近な「紛争鉱物」  ~携帯電話に何が使われているのか~

私たちが使う携帯電話の中に次のような鉱物が使われています。金、銀、パラジウム、鉄、銅、鉛、亜鉛、アルミ、バリウム、レアメタル(ニッケル、マンガン、クロム、タンタル、レアアース)など。こうした鉱物の産地までの追跡は、完全にはできません。

その結果、例えば、コンゴ民主共和国の紛争については、反政府武装勢力(ルワンダ解放民主軍)は、金やスズ、タンタルなどの取引で年間数億ドルの収益を得、その収入で兵器が購入されていると国連が報告しています。

 

●原子力発電は、先住民も苦しめる

アメリカ、オーストラリア、インドなどで採掘される原子力発電所の燃料ウラン。その鉱山の多くは、先住民が居住するエリアにあります。ウランを採掘していることで、先住民は生活の場を失い、さらにウラン残土からの放射能で健康被害を受けていると報告されています。原発の放射性燃料は、産地でも多くの人を苦しめているのです。

 

●私たちにできること

私たちが携帯電話やハイテク機器を頻繁に買い換えることは、世界の紛争に加担することにつながります。出来ることから始めましょう。

  • 世界の現状を知る、広く知らせる
  • 流行を追って新製品に買い換えず、できるだけ長く使うようにする
  • 「ケータイforコンゴ」に協力しよう
NPO法人テラ・ルネッサンスでは、使わなくなった携帯電話を回収し、そのなかで使用されている金属をリサイクルする「ケータイforコンゴ」を呼びかけています。 金属のリサイクルが紛争を減らすことにつながります。思い出深い携帯電話もあると思いますが、ぜひご協力ください。http://www.terra-r.jp/congo/

参考資料:「教養としての資源問題(谷口正次)」