巻頭言

【巻頭言】いま大切なことは

震災から2カ月がたちました。 
復興のつち音が聞こえてきた地域もありますが、原発事故の終息は見えず、原発の周辺地域など、希望が見えてこない被災地も少なくありません。
「復興には20兆円以上、復興には5年以上」と報道されています。

いま大切なことはなんでしょう。
これを機に、日本全体が変わることではないでしょうか。

まず、政府はビジョンを示すべきです。

  1. 安心できる社会をめざす
  2. 原発をなくす
  3. 食糧、エネルギーの安定供給(自給)をめざす
  4. 老後や福祉について不安をなくす
  5. 生きがい、やりがいのある社会をめざす

みんながみんなのために役立つ地域社会、
それこそコミュニティ、エコビレッジ(地球村)なのです。

それには100兆円かかろうが、10年かかろうがかまわない。
政府は、まずは、未来のビジョンを示すこと。
そして、それをめざす工程表を示すこと。

それには、どうすればいいか。
多くの人が事実を知ることです。
「このままではダメだ」と知ることです。
「どうすればいいか」を知ることです。
しかし、多くの人は、そのことを知りません。

では、どうすればいいか。
事実を知らせることです。
「このままではダメだ」と知らせることです。
「どうすればいいか」を知らせることです。
私は、そのことをやってきたのですが、それがもっと必要なのです。
だから、もっと講演をやっていきたいのです。
どうぞ、それに協力してください。


●事実を知ること
たとえば原発について、某新聞のアンケートでは、
「現状維持51%」と答えたらしい。
なぜ、そんな回答をしたのか。調べてみてびっくり。
そのアンケートには、「現状の電力の30%は原発です」という説明があったからです。
これが情報操作であり、意図的なアンケートの方法なのです。

「現状の電力の30%は原発である」というのは、どういう意味でしょう。
「原発がないと電力が30%足りなくなる」という意味ではありません。
その驚くべき事実を説明します。

原発は細かな調整が難しい(危険)ため、ふだんはフル稼働させています。
それに対して、火力や水力は調整が簡単で、火力は出力を抑えると燃料と二酸化炭素が削減できるので、できるだけ稼働を落としたい。
その結果、原発比率が「30%」になっているだけなのです。
発電能力と最大使用電力のグラフをごらんください。

火力、水力には余力があり、その余力は30%以上ですから、原発がなくても困らないのです。出典は公式資料「エネルギー・経済統計要覧」です。
この出典には、こんなわかりやすいグラフは付いていませんから、このグラフは『地球村』事務局で作りました。

この事実を知って、どう思われましたか。
「やめられるじゃないか! なぜやめないんだ!」
それは、多くの人が事実を知らないからです。

多くの人々が事実を知ることで、ドイツのように、デンマークのように、社会は変えられるのです。『地球村』の役割は、事実を知らせること、ビジョンと、それを実現する方法を示すことなのです。
私は、30年、そのことをやってきましたが、もっと必要です。
どうぞ、私の講演会、DVD上映会を開催してください。