巻頭言

【巻頭言】自然エネルギーの展望

◎発電の原理
発電には、発電機を回すものと、それ以外とに分かれます。
 
●発電機を使う発電
「火力発電」「原子力発電」「地熱発電」「太陽熱発電」は水蒸気でタービンを回すという原理は同じですが、人工的に熱を作りだすのか、自然のエネルギーを利用するのかが大きく違います。
「風力発電」は風の力で、「水力発電」は水の力で、「潮力発電」「海洋発電」は海水の力で発電機を回します。
 
●発電機を使わない発電
現状では、半導体の光電効果(光を電気に変える仕組み)を利用した太陽光発電です。
 
◎今後の発電
1位 地熱発電(★★★★★)
地下にパイプを通し、温水や水蒸気を得て、タービンを回して発電したり、熱も利用するのです。地熱の豊富なアイスランドでは地熱発電が30%。
電力価格は非常に安く、日本の3分の1です。地熱が豊富な日本には最適。
 
☆地球の内部はなぜ熱い
地球が熱いのは放射性元素の崩壊熱による。つまり原子炉と同じ原理ですが、
46億年間、核爆発もなく、臨界事故もなく、使用済燃料問題もなく、地殻とマントルが放射線を遮断しているために放射線の危険もない。
地球がこれほど安全な原子炉なのに、人間が未熟な技術で危険な原子力発電所を作って苦しんでいる現状を、地球は「人間って、どうしてこんなに愚かなんだろう」と笑っているだろう。
 
2位 小型水力発電(★★★★)
自然を破壊し、多くの集落を水没させる巨大ダム(巨大水力発電)とちがって、小規模水力は川の流れをそのまま利用して小型発電機を回す。
家庭用から業務用、地域用まで発電規模は様々。
天候(雨が多い)、地形(山が多い、川が多い)に恵まれた日本には最適。
小型水力発電機は太陽光発電より安く、24時間発電できますから発電量は太陽光の数倍大きく、電力価格は太陽光の10分の1と安価。
投資金額は数年で還元されるため、市民発電として有力。
 
3位 太陽熱発電(★★★)
太陽光発電とは、原理も全く別の発電です。
太陽光をレンズ(鏡面)で集めて、水を通したパイプを熱して水蒸気を作り、タービンを回す。多くの熱を集めるために、砂漠などの広大な土地と大掛かりな装置が必要となる。
 
4位 風力発電(★★)
家庭用の小型のものから、高さ100メートルの3000kw/h級(1500世帯)まで発電規模は様々る。大型のものは数億円しますが、それでも火力や原子力よりもはるかに安全で安い。日本では、低周波公害、野鳥保護、景観、故障が多いなどのネガティブなイメージがあるが、海外では自治体や市民発電の主力になっている。
 
5位 太陽光発電(★)
以上の発電機を回すという発電とは全く異なる原理、つまり太陽光のエネルギーを半導体の「光電効果」で電気に変える。動力もタービンも発電機もいらないので太陽光パネルを屋根に乗せるだけ。一見とても便利に思えるが、「光電効果」は高度な技術力(半導体製造技術、大量生産技術)と大きな資本が必要となり、大企業の独壇場であり、発電価格が一番高い。
 

発電単価が高いということは、多くの資源、エネルギーを使うということであり、多くの二酸化炭素を放出する。半導体の劣化(寿命が短い)も問題。
コストが飛びぬけて高いこと、効率の悪さ、寿命が短いという点から、多くの税金をつぎ込んで推進するのは、いいことではありません。