地球は今

【地球は今...】地球環境を診断する

新年にあたり、地球の現状を改めて見てみましょう。今回は地球を構成する要素(エレメント)ごとにその現状をまとめています。(事務局 渡辺裕文)

 

●地球温暖化

・大気中の二酸化炭素の増加で、地球全体の気温が過去100年間で0.74℃の上昇。
21世紀末の平均気温は最大で6.4℃上昇(過去100年の温度上昇の約10倍!)

・世界で豪雨、干ばつ、熱波など異常気象がすでに急増。今後は、猛暑や熱波、豪雨などの異常気象がさらに増加する可能性

・異常気象、降雨量の変化、塩害などで食糧の収穫減、大量の環境難民を予測

・海面上昇により、先進国の平地やモルジブなど数十ヵ国は国の大半が水没

※2012年以降の温暖化ガスの排出削減目標は、COP16(メキシコ・カンクン会議)でも決まらずに今年開催のCOP17に先送りとなっています。


●水資源の枯渇
・世界で約7億人が水不足、年間約180万人の子どもが死亡

・干ばつ、地下水の減少、湖沼の縮小、湿地の消滅が進行
アメリカやインドでは地下水が枯れ、農地が減少

・世界の食糧生産の4割を支えている灌漑農業は、破綻寸前

・いくつかの国際河川(国境をまたがる河川)では、上流での水需要の増加と、下流での水の枯渇で国家間の紛争も

・アジア、アフリカ諸国は人口増で水供給が破綻。2025年には世界の3分の2が水不足

※世界水フォーラムが、来年3月フランスで開催されます。


●森林破壊

・乱開発、乱伐採ですでに世界の原生林は80%が消失
(現在、ヨーロッパではほぼゼロ、アメリカでは15%以下に)

・毎年日本の面積の半分の森林が失われ、さらに失われたうち半分の面積が砂漠化⇒大量の表土が流出し耕作面積が減少
熱帯林の破壊はすでに取り返しがつかない状態(99年UNEP)

※今年、2011年は国際森林年です。


●広がりゆく砂漠化
・地球の陸地の4分の1が砂漠化、毎年6万平方キロの拡大

・世界の9億人に砂漠化の影響

・今後、アジアで耕作可能な土地の3分の1、アフリカで3分の2を失い、食料不足と貧困により環境難民が増大する可能性

・アフリカのサヘル地域では1980年代に砂漠化で2500万人が死亡

・アラル海、チャド湖など巨大な湖さえ、砂漠化し周辺では生活できない状況

※今年10月10日から、韓国で国連砂漠化対処条約COP10が開催されます。

 

●消えていく生物多様性

・生態系の破壊による種の絶滅で毎年5~15万種(毎日100~300種)が絶滅(過去の絶滅の数万倍の速度)

・全生物種の25%が絶滅の危機にあり、危機的な状況
 ⇒「生物多様性を保つことは既に手遅れ」(UNEP報告)

・私たちの生活は、衣食住すべてにおいて自然の恵みなしには不成立
「毎年380兆円の自然の恵みを破壊し失っている」(UNEPのTEEB報告書)

・種の絶滅はドミノ倒しのように人類を含めた生物の全滅につながる可能性

・すでに生態系が弱まり、生物の免疫機能や生殖機能の低下が始まっている
※昨年、10月に名古屋で国連生物多様性条約COP10が開催され、名古屋議定書や愛知ターゲットなどが決定。
今年から生物多様性の10年が始まる予定です。


こうした環境問題の原因は、私たち先進国の豊かな生活です。
水や石油を湯水のように使い、リゾート地やアスファルト化、護岸工事で水源や生物多様性を破壊し、結果としてこのような地球環境問題を引き起こしています。
私たちのあたりまえの生活をみなおしていきましょう。
※ブックレットの新版では、新しい環境情報も含めて掲載しています。ぜひご購入ください。

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