原発用語 言い換えて危険な印象を消す
福島第一原発事故をめぐる政府や東京電力の記者会見では、しばしば珍妙な用語が飛び出します。「事故」の代わりに「事象」が使われ、「老朽化」は「高経年化」に、「汚染水」は「滞留水」に言い換えられています。
原子力界では、言い換えや造語で、危ない印象を消し去ろうとする動きが続いてきました。「事象」を使うことで、危険性を小さく見せようとし、圧力容器や格納容器など主要部分は交換できないのにも関わらず、「古くなった部分は取り換えるから、原発の老朽化はあり得ない」と説明されます。
高い放射線量が計測される「汚染水」を「滞留水」と呼ぶことは実情に合っていません。専門家は、「危険性を隠したがる原子力界の潜在意識の表れで、原子力界の常とう手段。メディアや市民も分かりやすい言葉を使わせるよう声を上げるべきだ」と話しています。(東京新聞)