【地球は今...】温暖化防止会議(COP17)と「京都」を捨てた日本
昨年11月28日~12月10日、「気候変動枠組条約締約国会議(COP17)」が南アフリカのダーバンで開催されたが、各国の利害が対立、予想通り前進しなかった。
特に日本は、京都議定書延長に不参加を表明するというひどい結果となった。(高木、渡辺)
●温暖化防止会議COP17
今回の会議(COP17)は、2012年で期限切れとなる京都議定書後の削減目標を決定することが最大の目的だったが、
結果は、
- ・京都議定書の延長(5~8年)を、2012年のCOP18で決定する
- ・2015年までにアメリカや中国などすべての国が参加する新たな枠組みを作成
- ・新たな枠組みは2020年以降の発効を目指す
- ・京都議定書の延長に賛同する国は、COP18で削減目標を提示
- ・日本は、京都議定書の延長を拒否し、不参加を表明
●今回の日本政府の姿勢
日本政府は、会議の冒頭から「アメリカ、中国が参加しない京都議定書の延長は拒否」を繰り返し、会議を妨害した国に与えられる「化石賞」を今年も受賞。
「日本は京都議定書を捨て、今後、温暖化防止にどう取り組むつもりなのか」と海外からも非難の声が上がっている。
●中国の存在感(2011年12月8日京都新聞より)
これまで途上国の代表として、先進国に削減義務を要求し、自国は削減目標を示さないという方針であった中国が、会議直前に「2020年以降の削減の枠組みに参加する用意がある」と表明。
日本政府の存在感のなさとは対照的に、EUと共に会議をリードし、「温暖化対策に熱心な中国」をアピールしていた。
●これまでの温暖化防止会議(COP3~COP15)での日本政府の姿勢
★温暖化防止京都会議(COP3)は、議長国日本の消極的姿勢とアメリカの非協力によって混乱したが、作業部会のエストラーダ議長(アルゼンチン)の活躍で、先進国の削減目標の採択にたどり着いた。
日本が中心となり原発利用の推進を表明したり、京都メカニズム(排出権取引やCDMという海外での削減を自国の削減分とする仕組み)という削減にならない先進国の抜け道が盛り込まれ、欧州の案(15%削減)より大きく後退した議定書の採択になった。
まさに「温暖化防止・防止会議」であった。
★〔COP7(2001年)〕京都議定書の運用ルールを採択し、京都議定書の批准が可能になった。
しかし、日本政府がロシア、オーストラリア、カナダと共に遵守(不履行の場合の制裁措置)についての条項の修正(骨抜き)提案を行うなど後ろ向きの対応で、前年のボン(ドイツ)での会議の結果よりも後退した内容になった。
※2001年3月にアメリカが京都議定書を離脱した。
★〔COP10(2004年)〕アルゼンチンで開催されたCOP10の直前にロシアが京都議定書を批准し、COP3から7年経ってやっと京都議定書が発行された。
京都議定書の立役者であるアルゼンチンが議長国であったので、2013年以降の削減目標を決める準備も始まった。
★〔COP11 (2005年)〕2013年以降の新たな削減目標と枠組みに対し、経済成長を阻害するとして経産省は京都議定書の基本(※)を破棄する制度を提案。
京都議定書の議長国であった日本自ら京都議定書を台無しにするようなことを行った。
※総量規制、法的拘束力、遵守制度(不履行の場合の制裁措置)など
★〔COP13(2007年)〕2009年までに2013年以降の削減目標と枠組みを決めるための作業計画を採択した。
しかし、草案段階で盛り込まれていた「温室効果ガスの排出ピーク2050 年までの半減、先進国は2020 年に25~40%削減」などの目標の記載がアメリカや日本の反対で削除された。
★〔G8洞爺湖サミット(2008年7月)〕
世界の温室効果ガス排出量の40%を占めるG8諸国が、「2050年までに2000年比で60~80%、2020年までに1990年比で25~40%削減」の中長期目標に合意することが求められていた。
しかし、具体的な数値目標での合意はなく、サミット議長国である日本政府は中期目標すら提示できずリーダーシップ不在で終わった。
★〔COP15(2009年)〕政権交代によりに鳩山首相(当時)は1990年比25%削減の中期目標を提示し喝采を受けたが、すべての主要国の合意が前提など、発言が後退。
以降、官僚主導になり、今年のCOP17では、前述のような状況になっている
●今、日本に求められること、私達ができること
環境については常に後ろ向きの日本に、いま必要なのことは、「経済から環境へ」の大転換であり、そのためには、
- ①グリーンコンシューマが増えることと、
- ②大事なことは国民が直接意志表示して決定できる国民投票です。
その第一歩として、原発市民投票、原発都民投票を成功させよう! http://kokumintohyo.com/