電力融通、物理的には可能
九州電力は2月3日、トラブルで全停止した新大分火力発電所の電力を補うため、他の電力6社から本来送電可能とされる容量の4.7倍の電力を補っていたことがわかった。
電力会社では、各社をつなぐ「連系線」と呼ばれる送電線を使って電力融通が行われている。
連系線は一度に送電可能な容量に制限があり、例えば九州電力が他社から電力を融通してもらう場合、連系線の運用容量は30万キロワットに制限されている。
2月7日早朝、九州最大の新大分火力発電所が配管凍結のトラブルにより全停止し、電力不足を補うために運用容量を超えた141万キロワットの電力融通をほかの電力会社から受けていたことがわかった。
運用容量の制限は、連系線が故障し突発的な停電が発生するリスクを下げるためだが、今回のケースのように物理的には運用容量を超えた送電も可能であり、緊急時には運用容量を超えた緊急融通が可能である事を示している。
今回送電された141万キロワットは、原発一基分を上回る電力量だった。
特定規模電気事業者(新電力)関係者は「電力会社は、いったいどこまでゆとりを持てるのか」と話している。
朝日新聞2012年4月10日朝刊