夢の核燃料サイクルは夢だった
「使用済み核燃料から得られるプルトニウムを原発の燃料として再利用すると半永久的にエネルギーが得られる! 核燃料で日本もエネルギーが自給できる!」
資源の少ない日本は、核燃料サイクル技術に夢と希望をかけてきた。しかし、その夢が夢でしかなかった現実が次々と現れている。
使用済核燃料を再処理するための工場は、20年間という歳月と2兆円以上のお金をかけながら、全く稼働のメドが立っていない。プルトニウム燃料を使用する高速増殖炉(もんじゅ)は、1兆円以上のお金をかけながら、ナトリウム漏洩事故などによりほとんど稼働していない。再処理によって放射性廃棄物が10~40倍に増え、管理コストが増える。再処理工場や高速増殖炉などの施設も解体時には、放射性廃棄物となり、そのまま地層処分する場合の200倍に増えるという試算もある。
低レベル放射性廃棄物でも300年間の管理が必要であるが、プルトニウムなどの高レベル廃棄物は数十万年管理が必要とされており、最終処分場もまだ決まっていない
1991年、電力業界も採算性を疑問視する中、経産省や文科省の幹部が、慎重論を無視し、核燃料サイクルを無計画なまま強引に推進したとの内部資料も見つかっている。
アメリカ、フランス、ドイツなどは、すでに撤退している。しかし、日本は「核燃料サイクルは無限に行うことは不可能だ」と原子力委員会が2012年2月に見解を修正したが、基本的に核燃料サイクルを継続する方針を変えず、稼働するかどうか分らないもんじゅの地震対策のストレステストだけでも9億円の経費をつぎ込んでいる。
今、夢は夢として、現実的なエネルギー政策を打ち立てることが必要になっている。