巻頭言

【巻頭言】ノーモア原発再稼働

5月5日、北海道泊(とまり)原発が定期点検で停止した。

日本の原発50基(3月まで54基だったが、4月に福島原発4基の廃炉が決定)すべてが稼働停止となった。
しかし、原発が稼働ゼロになったら安全かといえば、そうではない。
圧力容器に燃料棒がある限り、格納容器内の冷却プールに使用済燃料がある限り、大地震、大津波などが起これば、どの原発も大事故が起こる可能性は十分ある。さらに・・・

竜巻

5月に強力な竜巻が宮城県を襲い、大きな被害を出した。
竜巻の最大風速は秒速100メートル以上(時速360Km以上)に達するが、
巨大な破壊力と、持ち上げる力も働くので、まさに「大津波」と同じである。

今回の竜巻のパワーは、福島原発を襲った大津波に匹敵すると思われる。
仮に原子炉が倒壊しないとしても、電線、非常用電源、ディーゼル発電装置、ディーゼル燃料タンクなどは根こそぎ破壊され、冷却機能が失われるだろう。
冷却機能を失えば、福島原発と同様の大事故、大惨事が起こる。
ということは、原発の安全対策は、「大地震、大津波」だけではなく、「竜巻」も加えなければならない。
さらに、「コンピュータの誤作動」「テロ」も。

そう考えると、やはり原発の安全保証はあり得ない。
ところで、もし竜巻が現状の福島原発を襲えばどうなるか。
複雑に張り巡らされた冷却水のパイプや原電が失われる可能性が高い。

さらに現在、すでに4号機の建屋が傾いているため、今回のような竜巻が襲うと倒壊の可能性がある。
倒壊すると、上階にある燃料棒保管プール(冷却中)に満杯の使用済燃料が吹き上げられ、広範囲にばらまかれる。
一部は、「メルトダウン、再臨界、爆発」の可能性もあり、東日本は「大規模被ばく」の可能性がある。

今後、夏に向けて、積乱雲が発生すれば、竜巻も落雷もいつでも起こりうる。
これから、まだまだ大きな危険の可能性がある。

再稼働

先月号でも書いたが、いま電力業界と政府は「関西電力の大飯原発の再稼働」に必死である。
この理解はとても大切なので、もう一度説明する。

これまでは、原発神話(①原発は安全 ②原発は安い ③日本は原発がないと成り立たない)によって原子力を推進してきたが、
すでに①②が崩れ、いま③だけが原発政策のよりどころなのだ。

ここで、原発ゼロで夏を越せたら、③も崩れ、「原発は不要」が証明される。
そうなれば、現在の電力会社の「総括原価方式」(原発が資産に組み込まれ、そのコストを電力コストに上乗せする方式)が崩れ、いままで資産だった原発が巨大な負債に変わり、廃炉問題(費用も技術もわからない)に直面してしまう。

さらに、再生可能エネルギーの買取政策で自然エネルギーが普及すると、これまで地域独占でやってこられた電力企業の存在自体が危うくなる。
そうなると、電力企業の存続問題、数百万人の雇用問題、廃炉費用、政府の電力政策の責任問題で原子力ムラと、その利権構造にぶら下がってきた業界は大混乱、経済面でも大パニックが起こるだろう。

しかし、それ自体が間違っていたわけだから、いつかは越えねばならない試練。
解決は遅らせれば遅らせるほど大事故の可能性も増え、使用済燃料も増え、自然エネルギーの取組み、省エネの取組みも遅れる。

電力は足りるか、足りないか

いま、新聞テレビで政府や電力企業が「この夏の電力が足りるか足りないか」を必死に議論しているが、このこと自体がおかしい。
足りるか足りないかという問題と再稼働は別問題である。

これほどの大惨事の後、原因の解明も安全対策もないまま、「足りないから再稼働」という議論は言語道断。

関西電力のうそ

「最大15%足りない」と主張しているが、

  • ①最も暑かった2010年を想定
  • ②昨年の夏の節電量を「昨年並み」と想定
  • ③揚水発電ゼロを想定
  • ④他社からの電力購入量(融通)を「昨年並み」と想定 
  • ⑤ピークカット対策(警報、時間帯で価格アップ)をしない想定
  • ⑥ 大口需要企業の節電を「昨年並み」と想定

努力すればできることばかりなのに、それをせずに、「足りない宣伝」を続け、なりふり構わず「大飯原発を再稼働すれば足りる宣伝」ばかりしていること自体が問題。
足りないとしても真昼のピークだけ。
足りなければ警報を出して節電すればいいし、「計画停電」でもいい。

この夏は最大限「節電」し、「再稼働」を許してはならない。