スペシャル対談

2012年7月号 株式会社世界地図 代表 松岡功さん

愛媛県松山市で、(株)世界地図と(財)進級ボランティア事業団を営む松岡さんは、「4つの使命」を掲げて活動しています。

人生を変える世界地図を販売して、その収益でカンボジアに井戸を掘る計画を立て、現在までに220基の井戸を完成させました。

「念ずれば花ひらく」の精神で突き進んでおられます。

 

ボランティア支援で人生を

 

高木 きょうは講演会の主催、ありがとう。6回目ですね。まずは、出会いからお話しください。

松岡 20年くらい前に、高木先生の講演を初めてお聞きしました。交流会の場で少人数でいろんなお話を聞き、環境問題は待ったなし、すぐに真剣に取り組まなくてはならないと気づき、すごく感動し、『地球村』の会員になりました。
その後、何回も講演を聞かせてもらって勉強をして、当時、塾を経営していましたので、すぐに生徒にも伝えました。

高木 大手の進学塾でしたね。どのような塾で生徒さんはどのくらいいましたか?

松岡 当時は3500人いました。小・中・高・浪人生のための塾でした。
「社会に貢献する子供を創りたい」という理念を掲げ、社員自らが活動をしていました。
また私たちが支援している14団体の中から、自分で好きなのを選んで何らかのボランティアに関わるのです。
その14団体の中に、もちろん『地球村』もあります。ボランティアをするなら、会社を休んでも構わないという決まりになっていて、カンボジアに地雷関係の支援に行った者もいます。
思い出として、映像授業である東進衛星予備校のFCに参加させていただき、成功を収め、松山が教育革命である映像授業の成功の原動力になれたのは、幸せです。

高木 大きな塾ですね。それだけの生徒さんに環境を伝えてくれたのは嬉しいですね。

松岡 会社を設立したのは37年前、昭和51年でしたが、その時に会社の定款の中に目的として環境問題(ヒトデの駆除)を入れたのは日本で初めてだったんですよ。

高木 その塾をやめたいきさつは?

松岡 年齢も60を超えたので、自分の時間をとり、いろいろなボランティア活動の支援をしていきたいと思ったからです。
財団法人の認可((財)進級ボランティア事業団)も一年がかりで取ることができました。
また、塾の方も、東進本部に引き受けてもらいました。

 

世界地図は人生を変える

 

高木 では、今のお仕事は。

松岡 辞めてから、カンボジアで孤児院を経営している内田弘慈さんのところに遊びに行ったんです。
そこで、泥水を沸かして飲んでいる人たちを見て、また血が騒ぎ、井戸を掘ろうと決心しました。
そのためには資金が要りますよね。そこで世界地図を売ろうと思い立ちました。

高木 世界地図ですか。それはなぜ?

松岡 20年くらい前から自分で、シンプルで楽しい世界地図を作っていました。
内部の生徒には全員配り、松山市内の生徒や関係者にも毎年配っていました。(10万枚)
有名な話で坂本龍馬が勝海舟を暗殺に行った時、地球儀を見せられ、「日本はちっぽけだなあ」と気付き、攘夷論者から開国論者に変わったという話は有名ですが、世界地図を見ることによって、子どもの人生が変わるんですよ。
グローバルな考え方ができるようになります。愛媛の田舎の子が、世界地図を見ることにより、海外に目を向けるキッカケになっていました。
人生を変える世界地図を売って、活動の財源にしよう、そして井戸を掘ろう、そして世界中の人々の人生を変えちゃおう、そう思ったのです。

高木 なるほど。井戸掘りは、どんな状況ですか。

松岡 目標が22万基で、現在、カンボジアとバングラディシュに220基掘りました。

高木 22万基?それはまたすごい数ですね。

松岡 これはジョークとロマンなんです。地球の中心まで、6600Kmあるんです。30メートル掘って水が出るとしたら、6600Km÷30m=22万基ですから、目標を22万基と決めました。
自分の人生を賭けるんだったら、大きな夢の方がいいでしょう。
私の代で1000基で終わるか1万基で終わるか分かりませんが、若い人達が私の志を継いでくれると思います。
そういう思いでスタートを切りました。

高木 『地球村』も、この2月に松岡さんを通して井戸5基を寄付させていただきました。

松岡 その節は、大変ありがとうございました。
掘った場所は、タイトの国境沿いで、ポルポト時代に地雷を埋めたところです。プレートには、カンボジア語で「念ずれば花ひらく」と書かれています。

 

念ずれば花ひらく

 

高木 それ以外にも夢がおありなんですね。

松岡 一生をかけて「4つの使命」があるんです。

1. 世界地図を世界中に拡げたい
2. 井戸を世界中に22万基掘りたい
3. 「念ずれば花ひらく」の言葉を世界中に拡げたい
4. ケール(青汁の素)を世界中に広げたい

 「念ずれば花ひらく」は、坂村真民先生の言葉で、とても勇気を与えてくれる言葉なので、とにかく拡げていこうと、「念ずれば花ひらく」と書かれた石碑を井戸の祈念碑として置いています。
キリマンジャロ山頂にもうちの社員が背負っていきました。
ギリシャのオリンピア(世界で一番の平和の聖地)の中心地に世界で初めて置かせてもらいました。
翌日のオリンピアの新聞には、「平和のつかい」ということで、一面に大きく紹介されました。(2004年8月25日)

高木 最後の一つ、ケールというのは?

松岡 地中海原産のキャベツの原種のような野菜で、青汁の原点です。
僕が元気なのもケールのおかげで毎日飲んでいます。
倉敷中央病院院長の故・遠藤仁郎先生が、68年前にアメリカから種を持ってきて、そこから広がりました。
私は先生の遺志を継いで広げています。
当社が愛媛県の「青年海外協力隊を育てる会」の事務局を長年やっている関係で、出発式の時、隊員にケールを現地で栽培してもらうよう、種をたくさん手渡しています。おかげで、世界中に広がりつつあります。
この4つの使命に、最後の人生を賭けています。
皆様方も応援してください。

高木 なるほど。わかりました。これからもご活躍ください。『地球村』もよろしくお願いします。

■(株)世界地図
http://sekaichizu.net/index.php

■井戸を世界中に22万基掘る会
http://www.idobori22manki.net/