巻頭言

【巻頭言】仕組みや制度は作ってはいけない

「原発の再稼働は賛成か、反対か」
『地球村』の仲間はほとんどは「反対」だと思いますし、新聞やNHKの世論調査でも大半は「反対」です。
それにも関わらず、なぜ政府は再稼働を進めるのか。
それは、「経済優先」という従来の路線に従っているからだろう。
それを、従来の利権構造(原子力村)が強力に後押ししているからだろう。
情勢の変化、国民世論にも関わらず、従来の路線をひた走っているのだ。
これは前のページにも書いたので、ここではより大きな視点で見直してみる。

ものごとの判断は「判断基準」によって決定されるが、問題は、その「判断基準」とは何なのか、誰のためなのか、ということだろう。

法律は国の秩序を守るため。
社内規則は社内の秩序を守るため。
学校の校内規則は学校の秩序を守るため。

「秩序」とは何だろう。
秩序とは、「都合のいい」状態だが、それは一体、誰にとって「都合がいい」のだろう。
それは明らかだ。
秩序とは、管理する者にとって、「都合がいい」状態なのだ。
社員を管理する者にとって、生徒を管理する者にとって、国民を管理する者にとって「都合がいい」状態なのだ。
よく考えてほしい。
管理する者にとって「都合がいい」ということは、必ず「都合が悪い」という人たちが居るのだ。
「いま都合がいい」ということは、「やがて都合が悪くなる」ということなのだ。
「みんなに都合がいい」ということは決して起こり得ない。
なぜなら現状の社会は、比較競争によって相対的な満足感を得る仕組みになっているからだ。
これは資本主義の問題ではなく、社会主義でも、共産主義でも、独裁主義でも同じこと。

「都合がいい」ものは、必ず「都合が悪い」ということが起こる。
「いま都合がいい」ことは、やがては「都合が悪い」ものになる。
なぜなら、自然界に存在しないものは不自然だから。

自然界では、すべての生物は共存している。
大きな生物も小さな生物も、強い生物も弱い生物も共存している。
数十億年前に現れた原生生物も、数億年前に現れた魚類も爬虫類も裸子植物も、数千万年前に現れた哺乳類も被子植物も、数百万年前に現れた甲虫たちも植物たちも、みんな共存している。
学校に行かなくても、勉強しなくても、大きな過ちは犯さない。

その理由は明らかだ。
『自然界のルールは、すべての生物のDNAの中に刻まれているから』
その驚異の事実について考えてみてほしい。

自然界では、必要なルールはDNAの中に刻まれている。
DNAに刻まれていないルールは不要か、間違っているのだ。

では、人間の歩み500万年は間違っていたのだろうか。
私は、人間の500万年は、哺乳類の数千万年、爬虫類の数億年と同じように、間違っていたわけではないと思う。自然だったと思う。特に罪深いものだったり、特に愚かだったり、存在しなかった方がよかった、とは思わない。
ただ、最後の数千年には、大きな間違いがあったと思う。
エジプト文明、メソポタミア文明、インダス文明などの巨大文明は、不自然な社会を作り、自然環境を破壊して自滅した。
しかし、それは地球規模ではまだ小規模だったが、
現在の文明は、地球規模の巨大文明であり、その不自然も巨大、その環境破壊も巨大、このままでは破局は避けられない。自滅は目前に迫っている。
過去の巨大文明がすべて自滅したように、今回の巨大文明も、このまま進めば自滅するだろう。
現在の文明は世界文明だから、地球規模の自滅は全滅になるだろう。

★いま必要なこと
現状の「便利快適な社会」「都合がいい社会」は根本的に間違っている。
私たちは、目先の便利快適、目先のエアコンがほしいわけではない。
私たちは、自分たちの「都合」で、未来を破壊したくはない。
私たちの役割は、「命を次の世代にバトンタッチ」すること。
私たちは「いのちのかけはし」、私たちの「いのちの聖火ランナー」なのだ。
次世代に、未来世代に、安心できる社会を残すことが最大の役割なのだ。

自然界に存在しない組織、システムは作ってはならない。
なぜなら、それは不自然な社会を拡大するためのものだから。
不自然な社会が作り出した組織、システムは、さらに問題を悪化させる。

問題を生み出したマインドセットを改めない限り、問題を解決することはできない

アインシュタイン