巻頭言

【巻頭言】政権は回転テーブル

大飯原発が再稼働になってしまったね。

総理は「国民生活を守るため」「福島を襲ったような地震・津波が起こっても事故は防止できる」などと、意味不明、根拠不明のことを言っている。
福島原発事故は、どうなったのか。あの犠牲は、なにも生まなかったのか。
国会事故調査委員会の最終報告書は、福島の事故は「明白な人災」「“地震で”重要な機器が壊れた可能性がある」など、かなり踏み込んだ内容になっているから、あとは市民の反対の声を上げ続けることが大切。

「4年間はアップしない」と公約した消費税も、総理は「政治生命をかけて」強引に増税法案を衆院可決させてしまった(本紙が出る頃は参院可決かも…)。

「国会議員定数削減」「国家予算は無駄を徹底的に削減し、赤字予算を立てない。赤字国債を出さない」「天下りは・・・」「幼稚園、保育園は・・・」などマニフェストの公約は、ほぼすべて反故にしてしまった。
現状の民主党は、自民党以上に国民の期待を裏切り続けている。
民主党は終わり。次回の選挙で大敗は間違いないだろう。

こう書いていて、思い出したのは、かつて最大野党・社会党が自民党と大連立して連立与党になった時のことだ。
それまで「原発反対」「自衛隊は違憲」「日米安保条約反対」などを柱にしていたのに、連立と共に事実上すべて取り下げてしまった。
社会党は国民に見離され、じり貧になり数年後には消滅した。
歴史は繰り返すというが、まさにいまの民主党は同じ道をたどっている。
国民を裏切れば、政党は見離され消えていくのは当然なのに、なぜ同じ過ちを犯すのだろうか。

この問題を考えていて、ふと気づいたのが、「回転テーブル」です。
回転テーブルとは、中華料理店のくるくる回る、あのテーブルのことです。
回転式の大きな食卓を前に、各政党が座っている様子を、与党の前にだけ豪華なご馳走が並んでいる様子をイメージしてください。
与党の前には、「予算を立てる権利」「予算を配分する権利」「交付金を出す権利」「人事権」「○○権」「○○特権」などが所狭しと並べられ、さらに裏メニューとして、「政治献金」「接待」「天下り」「わたり」など、山もりのご馳走があるのだ。

野党時代の民主党は、いつも与党のご馳走を眺めながら、「無駄遣いはやめろ!」「あれをやめろ!これをやめろ!」「見直せ!」「削減しろ!」「分け前をよこせ!」と正義の声を上げていた。マニフェストにも書き並べた。
国民はそれを信じて、民主党に政権交代させた。
そして、ついに50年間動かなかった回転テーブルは半回転した。

なんと、たった一日で、さっきまで自民党の前に並んでいた豪華なご馳走が、グルリと回って自分たちの前に来たではないか!
あれほど羨ましかったご馳走が、目の前に並んでいるのだ!
いままで喉から手が出るほど欲しかったご馳走が!利権が!
「長い間、我慢してきたのだから、これを味わって何が悪い!」
一つずつ味見してみると、どれもおいしい!
こんなおいしいものは、どれ一つ手放すのがもったいなくなってきた。
原子力ムラも、消費税も、与党にとっては格別のご馳走!
おいしい!手放すのがおしい!もったいない!
議員定数の削減も、天下りも、赤字国債も、与党になれば手放せない!
参議院選挙の直前、うっかり「消費税の引き上げ」を口にしたため、選挙は大混乱、参議院選に負けてしまった。

民主党は、衆議院では過半数、参議院では半分以下という「ねじれ国会」になって困っているところに、自民党からオファーが来た。
「消費税引き上げは、もともと自民党の政策。協力しよう」ということで、民主党にとっては渡りに船、自公民3党合意で動き始めた。
野田総理は、前任者(鳩山総理、菅総理)を批判し、自民党にすり寄り、にじり寄り始めた。いまの民主党は、小泉時代の自民党より国民の敵だ。
なぜか、お分かりでしょうか。

そう、答は「回転テーブル」です。
自民党の思惑は、「民主党は国民を裏切ったからテーブルは回る。ご馳走は自分たちの前に戻ってくる。ご馳走は何一つ減らしてはならない・・・」
ということで、民主党と利害が一致したのだ。
民主党は、その先に期待しているだろう。
「仮に次の選挙で負けたとしても自民党だって短命だろう。そしたらまたテーブルは回って、ご馳走は自分たちの前に戻ってくる。ご馳走は何一つ減らしてはならない・・・」
「自分たちの前のご馳走は減らしたくない」というのは、民主党、自民党、双方の共通の願いなのだ。公明党も、それにあやかれればありがたい。
日本の政治は、二大政党のシーソーゲーム。やらせの出来合いゲーム。
日本はいま、こんな「回転テーブル理論」で動いているのではないだろうか。

どうすればいいかって?
さあ、どうすればいいと思いますか。
国民が、テーブルをひっくり返せばいいと思います。(^_^)v (^o^)/