脱原発への道

「原子力の憲法」原子力基本法の根幹が改悪

「原子力の憲法」と言われる原子力基本法の基本方針が、ほとんど何の議論もなく変更されていた。

今回制定された原子力規制委員会設置法の末尾に付けられた附則に、基本法の変更が忍び込ませてあったため、多くの人が気づかない状態で変更になっていた。

原子力利用の目的に「安全保障に資する」という項目が自民党からの提案で追加されている(下図)。

「安全保障」はこれまで「国家の防衛」を意味してきた。
この解釈を「平和目的に限る」と閣議で確認され、細野原発事故担当相は国会で国際原子力機関の査察やテロリストに核が渡ることへのセキュリティーであると答弁している。
しかし、政権与党が変わればこの答弁などで示した解釈は変更される可能性が高い。更に、専門家は「安全保障に資することを目的として、あらゆる核の情報を非公開にすることができる」、「核拡散への警戒を強めている国際社会からみて、誤解を招く」と警鐘を鳴らしている。

 

1955年の制定時からの利用目的

第2条 原子力の研究、開発及び利用は、平和目的に限り、民主的な運営のもとに、自主的にこれを行うものとし、そのせいかを公開し、進んで国際協力に資するものとする

今回の附則で追加

第2条2項 前項の安全の確保については、確立された国際的な基準を踏まえ、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として、行うものとする。
(東京新聞 2012年7月4日ほか)